ガラスを代替する樹脂グレージングは、素材であるポリカーボネート(PC)の特性からガラスに比べて耐衝撃性や断熱性に優れるほか、重量が約半分と軽いのが特徴。また、射出成形で成形できることから形状自由度が高く、複数部材の一体成形が可能であり車両デザインや生産性の向上に寄与する。先行する欧州ではフロントガラスへの適用検討が開始されるなど新たな自動車部材として期待が高まっている。
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鋼材に代わる構造用軽量素材として注目を集める炭素繊維強化樹脂(CFRP)。車体軽量化のキーマテリアルとして応用研究が活発化しており、今年5月の「人とくるまの技術展」では、ニッパツがサイドフレームとフロアパネルにCFRPを適用した自動車シートを展示するなど製品開発が加速している。しかし、普及拡大に向けては製品コストの低減が課題。同シートも従来比50%の軽量化(適用部品)と45%の剛性向上を実現するも、商品化にはコスト低減が不可欠。利用技術・応用製品の開発が進むなか、コストを含むスペックの最適化が急がれる。
三菱自動車は25日、食品廃棄物原料のバイオマス樹脂を用いた自動車部品を、群栄化学工業および新神戸電機と共同開発したと発表した。カシューナッツシェルオイル由来の耐熱性の高いフェノール樹脂で、まずは軽自動車用エンジンのオイルフィラーキャップとして今秋に製品化する予定。一般的なフェノール樹脂に使われている石油由来原料の一部を置き換えることで、化石資源節約と二酸化炭素削減が実現する。
スズキがクラストップの低燃費を実現した新型「ワゴンR」を発売した。新モデルは、車両全体にわたる重量低減の徹底により最大70キログラムの軽量化を図るとともに、エネチャージやエコクールといった先進低燃費化技術の採用により軽ワゴン最高となる28・8キロメートル/リットルを達成している。新型アルト(30・2キロメートル/リットル)に続く低燃費車の市場投入であり、「8?9割がガソリン車の現状では当面の問題として必要」(鈴木修会長兼社長)との認識から、ガソリン車の燃費競争をリードする。
ホンダは、新たに貴金属使用量を大幅に低減した排ガス触媒と鉄とアルミの新接合システムを開発した。新触媒は、排ガスの還元浄化性能に優れるロジウムの一部を酸素の吸放出速度を高めたパラジウムに代替したもので、米カリフォルニア州の低公害車基準に適合しながら37%の低コスト化を達成している。一方、接合システムは摩擦撹拌接合(FSW)をベースに連続接合を可能とするもので、ミグ溶接と同等以上の接合強度を確保している。両技術は今月発売する北米仕様の新型「アコード」から量産車での採用を開始する。
スズキは、ポリプロピレン(PP)の大幅な耐傷つき性向上を実現した。スチレン量の異なる2種類の水添スチレン系エラストマーの配合により、既存PPの4倍、独自開発した「スズキ スーパー ポリプロピレン(SSPP)」に対して2倍の耐傷つき性を達成した。透明度が高く、着色化も可能。今回の特性向上によりシボ形状の自由度を高めたことから、内装部品などで適用部位の拡大が見込める。アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂製塗装部品の置き換えを視野に入れて研究開発を推進する。
スズキは、独自開発した自動車用ポリプロピレン(PP)樹脂材料の本格展開に乗り出した。新材料「スズキ スーパー ポリプロピレン(SSPP)」は、タルクなどの無機充填材を使用せずに従来材と同等の機械物性を実現したもので、軽量化および透明性付与による無塗装化を実現しているのが特徴。独自の無塗装化技術との組み合わせにより、従来比約10%軽い高輝度シルバーメタリック色のスキッドプレートとして、7月11日発売の「エスクード」に採用した。同社では、SSPPの適用を内装部品やバンパーなどの外装部品へ拡大していく。
ホンダは、インドの二輪車事業において外装部品の鉄鋼からプラスチックへの素材転換を目指す。独自技術による差別化戦略の一環として、デザイン自由度の高いプラスチック系材料の採用比率拡大を検討するもので、2013年後半にホンダ・モーターサイクル&スクーター・インディア(HMSI)の第1工場(ハリアナ州マネサール)内に完成させるR&Dセンターを活用して材料開発を進める。
日産自動車は、プラットフォームの共有化と商品力の向上を両立する新世代車両設計技術を2013年以降に発売する新型車の開発に導入する。この「日産CMF」は、車両構成をエンジンコンパートメントやコックピットなど4つのモジュールとし、その組み合わせで車両を設計する手法。モジュールは電子部品をまとめる電子アーキテクチャーを加えたバリエーションを用意し、小型車から大型車まで効率よく設計できる。同社では、導入により採用予定の開発技術を幅広いセグメントで同時適用していく。
マツダと日本ポリプロは9日、従来と同等の剛性を維持しつつ軽量化が可能な樹脂材料を開発したと発表した。ポリプロピレン(PP)とゴムそれぞれに分子量の異なる2種類の成分を用いて混合し、必要とされる機能に応じて2層構造に配分することに成功した。同材料を使ったバンパーは、薄肉化によりフロントおよびリア合計で約2割の軽量化を実現している。マツダはクラス最軽量バンパーとして今春発売の「CX-5」に搭載する。
車両軽量化材料として開発が活発化している炭素繊維強化プラスチック(CFRP)。欧州ではすでに1991年から市販車への採用が始まっており、2000年以降は国内でもルーフやエンジンフード、ボンネットなどに適用されるようになってきた。しかし、その高コストから「採用車種は1000万円以上の高級車が中心」(スバル技術本部・渡辺淳車体構造設計第二課長)となっており、軽量素材として一般的に普及するにはいまだ時間を要する状況。そうしたなか、富士重工業は限定車ながら「スバル インプレッサWRX STI A?Line tS」(車体価格税込み422万1000円)などでCFRP製ルーフパネルの採用を実現しており、現在でも量産車におけるさらなる適用拡大に向けた開発に取り組んでいる。
マツダは、貴金属使用量の低減を可能にする自動車排ガス用触媒技術を開発した。新技術は白金族元素を配置した酸化物(サポート材)を従来比25%まで微細化し、それを耐熱性に優れるアルミナ表面上に分散担持するもの。微細化により触媒性能の向上を図る一方、アルミナの凝集(シンタリング)による性能劣化を抑制することで、エンジン直下(直結触媒)において従来に比べて30%少ない貴金属担持量で量産三元触媒と同等の性能を実現した。適用により「1台当たりの貴金属使用量を30?50%削減することが可能」(技術研究所先端材料研究部門 高見明秀部門統括研究長)であり、同社では実車への搭載を順次進めていく。
日産自動車は、抵抗スポット溶接によるマグネシウム合金と鋼材の異種材接合技術を開発した。新技術は亜鉛(Zn)とマグネシウム(Mg)の共晶反応によりマグネ合金表面の酸化被膜を除去するとともに、マグネ合金に含まれるアルミニウム(Al)を介して金属間化合物層を生成することで冶金的に接合するもの。溶融亜鉛メッキ鋼板とAZ31合金を用いた評価試験で、新技術による接合継手が車体適用時に要求される疲労特性を有することを確認している。低コストかつ実車への適用を可能としており、マグネ部材の採用拡大が期待される。
三菱自動車は12日、バイオポリエチレン(PE)を用いたフロアマットを永大化工、MRCパイレン、豊田通商と共同で開発したと発表した。2012年夏の商品化を予定している。ポリプロピレン(PP)繊維を用いた従来品と比較し、CO2排出量を15%削減するほか、PPとの芯鞘構造により耐摩耗性や耐熱性を高めた。
トヨタ自動車は11日、バイオポリエチレンテレフタレート(PET)を原料とし、耐久性などを大幅に向上させた内装表皮材を開発、内装材表面積の約80%に採用したと発表した。従来のバイオPETでは適用困難だったシート表皮やフロアカーペットなどの内装部品への採用が可能となった。
マツダは、住友金属工業およびアイシン高丘と共同で1800メガパスカル級高張力鋼板(ハイテン)を用いた自動車用部材を開発した。開発したのはフロントおよびリアバンパーの内側に設置するバンパービームで、従来に比べて強度を約20%向上することで4・8キログラムの軽量化を実現している。自動車部材として実用化されているハイテン材は1500メガパスカル級がこれまでの最高だった。同社では、2012年初頭から発売する新型クロスオーバーSUV「マツダ CX?5」に採用する。
マツダは24日、世界で初めて使用ずみ自動車のバンパー(廃車バンパー)を新車バンパーの材料としてリサイクルする技術を実用化し、今月21日生産分からビアンテのバンパー用として使用を開始したと発表した。当面、広島地区でマツダ車の廃車バンパーを回収、新車バンパーの材料に約10%混入し再生利用する。
日産自動車は、自動車シートの汚れ除去性を向上する新コーティング技術を実用化した。新たに撥水性と親水性という相反する特性を併せ持つ布地表皮材用コート液を開発。飲料などの染み込みを抑制しつつ、これまで拭き取りが困難だった黒染み(皮脂汚れ)を水拭きにより落としやすくした。「布地の触感を損なわずに実用に耐え得る耐久性を実現している」(材料技術部 車両先行材料開発グループ・小暮成夫氏)ことから、国内外を問わず適用可能な車種に対して適用する計画。
トヨタ自動車は、貴金属の使用量を大幅に削減できるガソリンエンジン用の新触媒技術を開発した。エンジン特性に応じて触媒層を部位ごとに塗り分けるゾーンコート技術と、従来に比べてロジウム(Rh)の粒成長を抑制した新担体の開発によって実現する。新技術の適用によって、Rh量を45%低減するとともに、パラジウム(Pd)も「エンジン仕様に応じて使用量の低減が可能」(金属・無機材料技術部・触媒設計室の青木悠生氏)とした。同社は海外を含めて今年モデルから新触媒に順次切り替えていく計画。
スズキは、自動車部品向け高機能ポリプロピレン(PP)材料を開発した。新材料はホモポリプロピレン(h-PP)をベースに水添スチレン系エラストマー(SEBS)を添加した2元系材料で、タルクなどの無機充填材を使用せずに従来材と同等の機械物性を実現したことが特徴。タルク添加量に相当する軽量化と透明性付与により無塗装化も実現している。従来材に対して「部品レベルの低コスト化が可能」(同社開発推進部 長島洋明氏)なことから、同社は実部品への適用を推進する。
BMWは量産車における炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の採用を加速する。その役割を担うのが2013年後半に発売予定の電気自動車(EV)メガシティビークル。同車では専用設計によるフルカーボン製のモノコックを採用する予定であり、CFRPの採用により軽量・高剛性かつ優れた衝撃吸収性を実現した車体開発を推進する。材料置換によるコストアップも「鋼材に比べて120?130キログラム軽くでき、バッテリーを20%小さくできる」(山根健技術顧問)ため、バッテリーコストの低減で吸収可能とみる。
三菱自動車は9日、ポリエチレンテレフタレート(PET)素材に綿を組み合わせた内装表皮を開発したと発表した。自動車シート用生地として今年夏、製品化を予定している。植物由来材料として一般的な綿繊維を織り込むことで、PET100%の従来素材と比較し、ライフサイクル全体でのCO2排出量を約2割削減できる。天井・トリム表皮などへの応用も進める考え。
リーマン・ショックをくぐり抜け、再び力強い成長を始めたタイの自動車産業。数年後には年産250万台規模へ市場が拡大し、世界トップ10に食い込むと見込まれる。素材メーカーから部品メーカーにいたる日系の自動車関連企業も、増産対応に追われるなど活況を呈している。ただ、この成長がいつまで続くのかどの企業も見通せていない。自動車の小型化、低価格化ニーズが一段と高まり、コスト競争が激化していることも各企業の不安材料となっている。グローバルな市場争いが熾烈さを増すなかで、タイが「最適拠点」であり続けるかどうかは、日系自動車メーカーの新たな拠点戦略にゆだねられている。
トヨタ自動車が新たに豊田通商と開発したバイオポリエチレンテレフタレート(PET)は、原料置換により植物化された汎用モノマーを使用している。PETの原料であるテレフタル酸とモノエチレングリコールのうち、重量構成比で30%を占めるモノエチレングリコールをサトウキビ由来のバイオ原料に代えて製造したもので、「分子構造が既存のPET樹脂とまったく同じ」(三宅裕一車両材料技術部有機材料室主幹)なのが特徴だ。ポリ乳酸(PLA)のような新材料に対して、このような汎用モノマーの植物化は既存部品へ適用しやすく、「プロセス開発により汎用モノマーの植物化が進めば、(バイオプラスチックスに)置き換えやすい」(同)とその可能性に期待を寄せる。
ハイブリッド技術で業界をリードするトヨタ自動車。植物資源を原料とするバイオプラスチックでも世界最先端の取り組みを行っており、昨年12月にはバイオプラスチックの採用面積が内装部品表面積の60%を占める「SAI」を量産化した。二酸化炭素(CO2)排出削減など社会的な環境要請が厳しくなるなか、すでに研究開発は「従来のコストと機能の2軸から、環境を加えた3軸へ」(三宅裕一車両材料技術部有機材料室主幹)と変わっている。同社のカーボンニュートラルな材料開発の取り組みを追った。
本田技研工業は、新たにクロロプレンゴム(CR)をベースとするエンジンマウント材料を開発した。新興国地域における耐久性保証の確保を目的としたもので、合成ゴムをベースとした材料は世界初。新材料はキサントゲン末端変性によりCRの耐久性、加工性および耐熱性を向上するとともに、添加材の配合により実用に耐え得る動的特性を実現しており、耐久試験では既存の天然ゴム材料を上回る特性を確認している。同社ではすでに量産技術の開発を完了しており、低コストの耐久信頼性向上技術として実車への採用を検討していく。
スズキは、自動車車両のアルミ化を進展させる独自の製造技術を開発した。構造設計を含む同技術はアルミ押出材を活用したのが特徴。これにより実用化したリアロアアームは、既存のアルミダイカスト製に対して22%のコストダウンを達成。これまで高コストから高級車やスポーツカーなどに限定されていたアルミ製リアロアアームの小型車への搭載を可能としている。「自動車部品にはパイプ形状で端がブッシュの部材は他にもある」(四谷剛毅開発部係長)ことから、同社では他部材のアルミ化への適用を検討していく考えだ。
日産自動車は、二酸化炭素(CO2)削減に向けた取り組みを加速する。高分散型リーン窒素酸化物(NOx)トラップ触媒や新機構による軽量・コンパクトな3気筒エンジン、独自のハイブリッドシステムなど新低燃費技術を採用したパワートレインの実車搭載を積極化するもの。2010年度は新たに4車種の発売を予定しており、これら次世代環境技術の搭載によりクラストップレベルの低燃費を実現したエンジン進化型エコカーを「PURE DRIVE」としてシリーズ化していく。
ホンダは、C/Cコンポジット製摩擦材の低温焼成技術を開発した。炭素繊維・樹脂・気孔の組成割合を制御することで、焼成温度400度Cで既存のペーパー系摩擦材を上回る特性を実現したもの。同摩擦材を採用したクラッチは、高トルク容量で優れた耐圧性や耐久性を有しているほか、従来の高温焼成カーボンクラッチよりも生産効率に優れるといった特徴をもつ。モータースポーツなど採用が限定されているカーボンクラッチの普及技術として今後の動向が注目される。
ホンダは、マグネシウム合金部品の低コスト化技術を開発した。この技術はエンジンヘッドカバーなどに使用されるAZ90D合金を対象としたもの。溶湯温度などの調整により耐食性に有害な金属間化合物を低減するとともに、溶湯中の含有ガスおよび介在物除去により新塊と同等以上の品質を実現。鋳造工程へのインライン化により従来の再生インゴット使用に比べて材料および溶解コストで約20%、製造時CO2で約36%の低減を可能にした。同社では、低コスト化によりマグネ合金部品の用途拡大を推進する。
実用化された素材・技術がある一方で、コストや品質の課題が解決できず開発が中断しているものもある。たとえば射出成形可能な耐熱性ポリ乳酸(PLA)樹脂。ジュート繊維とポリアリレート繊維を組み合わせた同PLA樹脂は、耐熱性および耐衝撃性で現行のポリプロピレン(PP)材料と同等以上の特性を実現しており、2009年1月に開催されたダカール・ラリーに参加したサポートカーのドアトリム(4部品)に採用された。しかし、長期の耐加水分解性が「10年程度なら問題はないが、15-20年となると難しい」(寺澤勇・開発本部材料技術部エキスパート有機材料技術担当)としており、量産車の材料として採用されるまでにはいたっていない。
地球温暖化や資源問題を背景に、自動車の環境対応が急速に進んでいる。その取り組みはハイブリッド車や電気自動車といった車両の低燃費化にとどまらず、製造工程から廃棄段階にいたるライフサイクル全体の環境負荷低減におよぶ。植物由来原料を使ったバイオマスプラスチックは、素材レベルにおける環境負荷低減の有力な手段の1つ。他社に先駆けて電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」の量産を開始した三菱自動車工業は、植物由来材料を利用した高分子技術を「グリーンプラスチック」と名付け積極的な研究開発を行っている。
CO2排出削減ニーズの高まりは、生産プロセスの効率化やライフサイクルアセスメントを観点とした原材料の見直しにまで及び始めている。プラスチックについては原料の脱石油化を目的にバイオプラスチックの開発が世界的に進められており、2008年の原油高騰時には「瞬間的にコストが逆転する可能性があった」(栃岡孝宏主幹研究員)こともあり、原料の安定調達の観点からも取り組みに拍車がかかっている。
世界的にCO2排出削減ニーズが高まるなか、自動車各社は低燃費化の取り組みを加速させている。今年に入り電気自動車をはじめとする次世代環境対応車の開発・実用化の勢いが増しているが、それでも喫緊の課題はガソリンおよびディーゼルエンジン搭載車種の燃費向上だ。ハイブリッドシステムをはじめとする低燃費技術の1つに車体軽量化があり、軽量化を目的とした金属部品の樹脂化が急速に進んでいる。環境対応車の開発を推進するマツダの動向を探った。
今年6月に発表されたリチウムイオンバッテリー搭載の電気自動車(EV)「プラグイン ステラ」。ランニングコストは軽ガソリン車に対して昼間の電力で約5分の2、「深夜電力をうまく使用すると5分の1」(大崎篤プロジェクトマネージャー)にまで抑えられる。3ウェイ充電による実用性や走行中のCO2排出がゼロという環境に対する優しさと相まって消費者に対するアピール度は高い。しかし、車格が軽自動車ながら472万5000円と高級車並みの価格から、販売は官公庁や企業など法人が主となっている。
ガソリンエンジン車よりも長い歴史を有する電気自動車(EV)。過去幾度かの開発ブームがあり、1990年代の米国カリフォルニア州の排出ガス規制強化などを背景とした開発ブームでは、富士重工業も鉛バッテリーを搭載した「スバル サンバーEV」を発売している。しかし、電池性能やインフラ整備などの課題から本格普及にいたっていないのが実情だ。こうしたなか、同社では本格普及を目指して実用に耐え得る「プラグイン ステラ」を市場投入した。
ホンダは、大幅な効率化を可能とする自動車の新防錆処理技術を開発した。加温型チクソ剤を添加した粘度調整型高浸透ワックスの開発により実現したもの。同ワックスは60度Cの加熱で流動性が高まる一方、冷却により網目状の構造体を形成するため再加熱しても液ダレすることがないのが特徴。既存の生産ラインに導入が可能なほか、作業員の熟練度によらない確実な塗布作業を実現している。同社では、欧州向け08年モデルから適用している。
日産自動車は、作業性に優れる低透過燃料ホースを開発した。PZEV(先進技術搭載車)用に開発した新燃料ホースは、フッ素樹脂FEPフィルムを中間層に、内層をフッ素ゴム、外層をヒドリンゴムとした3層構造をしている。3元系フッ素樹脂をバリア層とした現行の多層ゴムホースに比べて、E10燃料での燃料透過量を5分の1と低減するとともに、パイプ挿入力を大幅に改善した。同社では、PZEVエバボ規制に対応するフィラーホースとして2010年型セントラPZEVに採用している。
日産自動車は、自動車開発・試作におけるCAE(コンピューター支援エンジニアリング)活用強化の一環として、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)に特有のNVH(騒音・振動・突き上げ)や熱処理問題などでの適用を目指す。同社は、すでに新車の開発?試作工程の5割程度でCAEを適用しており、将来はその比率を7割まで高められると予想している。
24日から幕張メッセで第41回東京モーターショーの一般公開が始まる。ハイブリッド車や電気自動車といったエコカーの注目が高まるなか、環境対応を意識した新素材や材料置換・新設計による既存システムの高度化も提案されている。
マツダは、独自開発したシングルナノ触媒の特性向上を推進する。エンジン直下に据え付けられる直結型触媒コンバーターへの適用を目的に、耐熱特性などの向上を図る。現在の技術は貴金属の担持方法に主眼が置かれており、新たな取り組みではセラミックス担体をはじめ開発対象を広げることで触媒の高性能化を目指す計画としている。新興国における普及拡大を背景に同触媒向け貴金属の需給タイト化が懸念されており、同社は新触媒の早期開発に取り組む考え。
日産自動車の追浜工場は栃木工場(栃木県)、九州工場(福岡県)およびグループの日産車体(神奈川県平塚市)と並ぶ車両製造拠点。横須賀市の最北端に位置する追浜工業団地に約170万平方メートルの敷地を有しており、敷地内には燃料電池車や基礎研究を担う総合研究所と2年前にテストコースをリニューアルした試乗会などを行うコミュニケーション施設「グランドライブ」を備える。足もと、減税効果で操業度が回復してきたほか、来年度からは電気自動車(EV)の生産も始める計画であり、環境対応車の主力製造拠点としてさらなる飛躍を目指す。
新型アクセラの開発コンセプトは「機能とデザインでユーザーの期待を超えること」(前田剛亨新型アクセラ開発担当主査)。そのために20Cおよび20Eでは新たに独自のアイドリングストップ機構(i?stop)を採用した。同機構はエンジンのアイドリングを停止するもので「搭載するだけで10%の燃費向上が可能」(同)。しかし、クランクシャフト位置を検出する位相センサーやATオイルポンプ、2個のバッテリーを追加装備するため10キログラムの重量増となる。
6月11日、マツダはフルモデルチェンジしたスポーツコンパクト「マツダ アクセラ」を発表した。新モデルは、初代アクセラの精悍なデザインと優れた運動性能を継承・発展しつつ独自のアイドリングストップ機構の採用などにより大幅に燃費を向上、スポーツタイプの商品性と優れた環境性能を高い次元で両立させた。発売後約1カ月で当初計画の3・8倍となる7640台強を受注しており、「Zoom?Zoomの走りを極めた」(前田剛亨新型アクセラ開発担当主査)新型アクセラは市場から高い評価を得ている。
15年までに08年比30%低減へ
資源やエネルギーを投入し、さまざま工程を経て商品を生み出す生産活動。そこでの省エネ・省資源化は、事業の競争力向上にも直結する重要課題だ。こうした分野においても材料技術を応用した取り組みが行われている。
モノ作りにおいて欠かせないのが材料技術。製品の高機能化・高付加価値化は当然のこと、事業のグローバル化や生産プロセスの効率化の観点でも重要な役割を担う。自動車産業においても同様であり、事業を支える材料技術について第59回自動車技術会賞の中から本田技研工業の取り組みを紹介する。
近年の環境意識の高まりを背景に、車作りにおいても低燃費、省資源、リサイクルといった取り組みが従来以上に求められている。また、今回の世界同時不況をきっかけに自動車販売の中心は先進国からは新興市場にシフトすることが確実で、よりリーズナブルな車の開発が不可欠。
今年4月、中国・上海で開催されたモーターショーに1台の自動車が出品された。スズキが世界戦略車として開発した新型アルトだ。排気量998ccの新型車の特徴は、ハイブリッドシステムはもとより排気可変バルブといった特別な機構を用いずにCO2排出量を1キロメートル当たり103グラム(MT車)とAセグメント車トップレベルの環境性能を実現したこと。低価格と高い環境性能からすでに発売しているインドと欧州での売り上げは好調で、生産拠点のマネサール工場(インド)ではフル操業となっている。上海モーターショーの出品は満を持しての世界最大の自動車市場・中国への投入だ。
インサイトが搭載している1・3Lのガソリンエンジンは、インテークマニホールド(インマニ)にオール樹脂タイプを採用し軽量化を果たした。当初、フィットが採用していたアルミ/樹脂複合タイプの採用を検討したが、ボディ形状の違いから衝突安全基準や最適な吸気性能などを引き出すため新たに設計したもの。一方、オプション品ながら、フロアカーペットマットには植物由来の原料を使用したポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維を採用するなど、環境に優しい素材の採用も推進した。このほか、低VOC化を図った各種接着剤や、アレルゲン物質も除去する高性能脱フィルターの採用なども図った。
インサイトのハイブリッドシステムは、フロント部分にエンジンとバッテリーを、リア部分にモーターを制御する『PCU(パワーコントロールユニット)』と『ニッケル水素バッテリー』で構成されるIPU(インテリジェントパワーユニット)を配置し、小型軽量化やコストダウンを実現している。このうち、IPUカバーの50%軽量化(当初の設計開発との比較)や、モーター組立工程の大幅な時間短縮に貢献したのは新規に採用された化学系素材だった。
構造部材にからんだ騒音・振動(NV)対策でも、インサイトは新開発の素材を採用した。ピラーセパレーター(ピラーフィラー)と呼ぶオレフィン系発泡樹脂で、サイドシル部やピラー空洞部分の根元にこの発泡樹脂を充填し、ピラー上部への空気伝播音を遮断するほか、ピラー内の共鳴音(ロードノイズ中周波音)などを抑制する。インサイトでは、新たに高発泡・低温発泡タイプの超軽量ピラーセパレーターを採用し、従来品の3分の1という大幅な軽量化を達成した。さらに、発泡温度が下がったことで品質が安定化し、塗装工程の温度の低下にも対応できるようになった。
ホンダは、06年から4輪車の室内の防音コンセプトを『遮音タイプ』から『吸音タイプ』に一新した。新コンセプトにより、新機種の防音材の重量は初代フィットに対し約4キログラムの軽量化に成功する一方で、静粛性は1ランク上のレベルを達成したという。新型インサイトではさらに、HVとして吸音材の最適配置を行った。その一例として、内装裏の吸音材として採用した住友スリーエム社の『シンサレート』については、さらなる軽量化や厚手化を図った。
ホンダは新型インサイトで、コンパクトクラスとして初めて遮音機能と赤外線(IR)カット機能を併せ持つフロントガラスを採用した。コスト面の制約から、これまでは一部の高級車種などでしか使われていなかった。インサイト開発チームは、この高機能合わせガラスがさまざまな音に対して遮音効果を発揮することに加え、IRカットにより夏場の実用燃費に貢献するなど、新型HVであるインサイトの価値・品質を高める点を評価して採用を決断した。1つの素材・部材が多数の機能を発揮することで、結果的にはコスト面でも優位と認められる典型的なケースといえそうだ。
"09年はハイブリッド自動車(HV)の本格的な普及元年"とされる自動車業界。その先陣を切り、ホンダが2月9日に市場投入したHVの新型『INSIGHT』(インサイト)は、関係者が固唾を呑んで見守るなかで好調な販売を記録している。インサイトの開発にあたり、車体材料、パワープラント材料および騒音・振動(NV)対策を統括した四輪開発センターの大萱真吾主任研究員は、「徹底した軽量化やコストダウンに加え、ハイブリッド専用車としてワンクラス上の快適性を追求した。このため、今まで使ってきた技術をもう一度考え直し煮詰めた」と語る。
