日産自動車の追浜工場は栃木工場(栃木県)、九州工場(福岡県)およびグループの日産車体(神奈川県平塚市)と並ぶ車両製造拠点。横須賀市の最北端に位置する追浜工業団地に約170万平方メートルの敷地を有しており、敷地内には燃料電池車や基礎研究を担う総合研究所と2年前にテストコースをリニューアルした試乗会などを行うコミュニケーション施設「グランドライブ」を備える。足もと、減税効果で操業度が回復してきたほか、来年度からは電気自動車(EV)の生産も始める計画であり、環境対応車の主力製造拠点としてさらなる飛躍を目指す。
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年間8万台の生産能力を有する同工場は、車両組み立ての第1および第2棟とバンパー製造や塗装ラインのある第3棟の3工場棟で構成される。また、関東近県の物流拠点として最大5000台を積載できる運搬船が横付け可能な専用埠頭を併設。栃木工場や日産車体などの生産分を含め欧米など海外市場や北海道や九州といった国内遠隔地へ出荷するとともに、ラジオの周波数調整などルノー車の受け入れ拠点としての機能も有している。
現在、キューブ、ノート、マーチ、ブルーバードシルフィー、ティーダおよびティーダラティオの6車種を製造しており、いずれもエコカー減税対象車であることから操業度は上昇。すでにキューブとノートを生産する第1棟では2シフト体制を敷いており、8月には「3回の休日出勤があり、残業も1時間?1時間半程度するようになった」(同社)という。
日産自動車では、受注に基づいて決められた生産計画にそってすべての工程を同期する独自の生産方式・NPWを展開中。「各サプライヤーには4日先までの生産計画が伝えられる」ことで、サプライヤーとの連携を高め優れた品質と高い生産性を実現している。同工場でも70%の部品を外部調達しており、生産計画に基づいて4つある部品供給センターにジャストインタイムで納入される体制を整備している。
車両組立工場ではドア、ボディー、シャシーを別ラインで並行して生産。とくにボディーとドアは塗装工程で色付けしたのちに再度取り外すことで「ボディーの組立時間は1台当たり1分」という高生産性を達成しているほか、モジュール化して取り付けているコックピット部品を同社ラインに併設したカルソニックカンセイの専用ラインで組み立てることで効率化を図っている。
また、生産順に必要となる各種パーツを人手により1台分ずつ仕分けして組立ラインに供給するシステムを導入することで、異なる車種や色、異なる仕向け先を同一ラインで組み立てる高度な混流生産を実現するとともに、取り間違い防止のための部品指示装置やボルトの締め付けを確実に行うための締め付け保証装置などを独自に開発することで効率化を推進。「これら装置は海外拠点へも展開されている」といい、グループ製造拠点の効率化に大きく貢献している。
現在、操業アップを背景に製造要員の確保が課題となっている。08年4月末に3300人強いた従業員も今回の世界同時不況で2350人(09年3月末)まで減らしており、「外部企業の余剰人員の活用を主に補充を進めている」という。また、10年度から生産開始するEVについては、投資額や生産台数などから「既存ラインを活用する方向で検討中」。NPW方式の生産ラインであればそれも可能であり、EVは「部品点数がガソリン車に比べて少なく生産スピードは早くなる」見通しだ。

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