BMW、量産車でCFRP採用拡大、カーボンならではの車体開発

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 BMWは量産車における炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の採用を加速する。その役割を担うのが2013年後半に発売予定の電気自動車(EV)メガシティビークル。同車では専用設計によるフルカーボン製のモノコックを採用する予定であり、CFRPの採用により軽量・高剛性かつ優れた衝撃吸収性を実現した車体開発を推進する。材料置換によるコストアップも「鋼材に比べて120?130キログラム軽くでき、バッテリーを20%小さくできる」(山根健技術顧問)ため、バッテリーコストの低減で吸収可能とみる。

 今回の内容は、東京ビッグサイトで開催された軽量化・高強度化技術展で講演したもの。CFRPを自動車車体に応用した場合、アルミに対して30%、鋼材では50%の軽量化が可能。酸化腐食や酸・溶剤に強く、長期にわたり疲労劣化がないことから構造部材として開発が活発化している。とくに「優れた減衰能や衝撃時のエネルギー吸収特性を有している」点が注目されており、安全性能の向上が期待される。また、金属素材は基本的に等方性・均質性を前提とした使われ方をしているが、CFRPはカーボンファイバーの積層化によって強度・剛性の設計が可能であり、「ファイバーの配列で自由に材料強度と方向性を調整できることは車両設計者にとって非常に好ましい」という。
 構造材ではモノコック構造、中空構造およびハイブリッド構造のCFRPが想定される。一定板厚の成形部材をフランジで接着するモノコック構造は大量生産に向いており、網目織物製法による中空構造は断面形状や面積の自由度が高く繊維方向への最適化が可能。金属にCFRPシートを接着するハイブリッド構造は、必要な部分を効率よく補強できるといった特徴を持つ。いずれも量産車に採用するには「車両組み立てラインで流せること、成形のリードタイムが短いこと、材料コストの低減」が必要であり、工場関連技術を含む量産技術の開発が不可欠だ。
 BMWでは99年にCFRPを採用したコンセプトカーを発表。以来、採用を広げており、アルミや樹脂のハニカム材を使っていたバンパーレインフォースメントに中空構造材を、ルーフ部分の補強アーチとして成形モノコック構造材を実用化してきた。また07年に開発した水素自動車では、2枚重ねたスチールの間に補強材としてCFRPを挿入し、高剛性化とスチール製レインフォースに比べて52%の軽量化を実現した。07年ごろから組み立てラインで実際に流すということを始めており、すでに「実用化に達したと考えている」。
 製造に関しては、独SGLおよび三菱レイヨンと共同で量産体制を構築。エネルギー消費の観点からPANプリカーサを日本で製造し、米国ワシントン州でそれを酸化および低温炉・高温炉の2工程で炭化し、表面処理および調寸して巻き取る炭素繊維化を行っている。ドイツでは成形したカーボン素材を型に入れてレジンと硬化剤をポンプで高圧注入するRTM法で部材を製造しており、焼成・硬化した部材はロボットで取り出し組み立てラインに供給する自動化システムを導入ずみ。量産車では「メッシュではなくマット形状の不織布として生産し、各工程で出た端材を不織布の積層材の一部として使う」などリサイクルにも力を入れている。
 現在、09年に開発したEV・MINI Eで性能や使われ方を調査しており、今後はそれを改良したアクティブEという車で電池やコンポーネントの性能試験を行う予定。メガシティビーグルではライフドライブコンセプトのもと「居住空間をCFRP、ドライブの部分は運転性能や機械部品の衝突強度を確保するためにアルミを使う」計画。スポット溶接から接着への変更もあり、カーボンならではの車体開発を目指す。

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このページは、web staffが2011年5月31日 21:14に書いたブログ記事です。

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