スズキが世界戦略車(下) 既存技術で燃費性能追求

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 近年の環境意識の高まりを背景に、車作りにおいても低燃費、省資源、リサイクルといった取り組みが従来以上に求められている。また、今回の世界同時不況をきっかけに自動車販売の中心は先進国からは新興市場にシフトすることが確実で、よりリーズナブルな車の開発が不可欠。

 こうした時代の要請から低燃費かつ低コストな小型車のニーズが高まることが予想される。日本では庶民の足として定着している軽自動車(660cc)も世界的には認知されておらず、グローバルでは新型アルトが属する排気量1・2リットル?1・0リットルを中心とするAセグメント車が最小のカテゴリーとなる。このセグメントで一定のシェアを確保することが不況後の世界市場で勝ち残っていくための重要な要素となる。
 新型アルトは開発では「ハイギアの回転が上がらないようギア比を設定」(4輪技術本部 濱田茂明第4カーライン長)するなど燃費優先の車作りとなっている。加速性能などを求めるユーザーに対してはスイフトなど上の車種を薦めるという割り切り方だ。インドでは政策によりガソリンは1リットル当たり41ルピー(1ルピー=約2円)で販売されているが、庶民感覚は「日本人が1リットル800円のガソリンで乗るようなもの」。インド人の燃費に対する評価は厳しく、そうした意識が販売好調の背景にある。
 欧州では消費者の環境に対する意識が高く、新型アルトの燃費性能の高評価を持って受け入れられている。現在、EUはCO2排出量を1キロメートル当たり120グラムまで引き下げる方向で燃費規制の導入検討を進めており、こうした規制強化への対応に関しても新型アルトのアドバンテージは高い。すでにアイドルストップ機構や排気可変バルブの採用により1キロメートル当たり95グラムと軽自動車並みのCO2排出量はめどをつけており、「欧州規制は全乗用車の平均値であり、平均値を下げるためにCO2排出量は低くければ低いほどメリットが大きい」(同)ことからさらなる向上に取り組む。
 新型アルトのインドでの販売価格は35万ルピー?41万5000ルピー(デリーのショールーム価格)と「ナノの3?4ランク上の車種」という設定。欧州でもドイツでは8900ユーロ?1万900ユーロで販売されている。マルチ・スズキ社では年間12万台の生産を計画しているが、その燃費性能と低価格により受注は好調で「このクラスはスズキが得意とするべきところ。市場の評価は高く、開発コンセプトは間違っていなかった」(同)と現状を受け止める。
 世界同時不況により先進国における自動車販売は不振を極め、回復までには数年の時間を要するものとみられている。その一方で、新興国における自動車販売は今年年初から好調で、中国は今年にも米国を抜いて世界最大の自動車市場になることが確実視されている。一般的にその国民性から大型車が好まれる中国。高い次元の「経済的環境性能」を特徴とする新型アルトの動向は自動車作りの今後を占ううえでも注目される。

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このページは、web staffが2009年6月16日 16:07に書いたブログ記事です。

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