富士重工業「プラグイン ステラ」 EV商業化への試金石(上)

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 ガソリンエンジン車よりも長い歴史を有する電気自動車(EV)。過去幾度かの開発ブームがあり、1990年代の米国カリフォルニア州の排出ガス規制強化などを背景とした開発ブームでは、富士重工業も鉛バッテリーを搭載した「スバル サンバーEV」を発売している。しかし、電池性能やインフラ整備などの課題から本格普及にいたっていないのが実情だ。こうしたなか、同社では本格普及を目指して実用に耐え得る「プラグイン ステラ」を市場投入した。

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 今年に入り勢いを増すEVの開発・実用化の取り組みは、「世界的な環境意識の高まりや原油高騰により、ガソリンに代わる代替エネルギーの必要性増大といった社会環境の変化と電池性能の向上の点で異なる」(スバル商品企画本部の大崎篤プロジェクトゼネラルマネージャー)のが特徴。同社でも「快適・信頼の新しい走りと地球環境の融合」を掲げる中期ビジョンの下、究極の環境技術であるEVの開発を推進。06年6月からは本格的な普及を見据えて新たに開発した「R1e」を使って東京電力との共同実証試験を実施している。
 今回の商業化に当たり同社が重視したのがシティコミューターとしての実用性だ。大人4人が乗れる乗用性と業務用途に使える積載性を確保するため、ベース車両は「ステラ」を選択。航続距離に関しては、「航続距離を伸ばせば、その分バッテリーが重くなり電費が悪化する」(同)ため、リチウムイオンバッテリー(LiB)のコストや重量とともに、首都圏では1回当たりの出かけてから戻ってくるまでの走行距離が80キロメートルを下回るケースが全体の9割を占めるという軽自動車ユーザーの実態調査データを基に90キロメートルに設定した。
 開発では、ステラのボディー骨格の前席と後席の床下に放熱性に優れるラミネート構造のリチウムイオンバッテリーを束にしたバッテリーモジュールを4個ずつ計8個を直列に配置。また、エンジンからモーターへの変更に対応して、従来の燃料系部品をインバーターやコントロールユニットといった電力制御用部品や充電装置などに置き換えたほか、新たにエアコン用の電動コンプレッサーやPTCヒーターを搭載している。ワイパーなどは従来のまま鉛バッテリー(12ボルト)で駆動させるが、これらコンプレッサーやヒーターはモーターと同じリチウムイオンバッテリーを電源とするため、「バッテリーの負荷抑制を目的にシートヒーターを採用した」といった工夫で航続距離確保を図っている。
 足回り部品は特性に合わせたチューニングが必要なものの、「基本的に既存車種と変わらない」(同)が、ブレーキ機構についてはエンジンの吸気管負圧を利用した倍力装置が使えないため、新たに真空ポンプを装着することで対応。また、軽量化を目的に断熱材および遮音材は「一から見直し、必要性を見極めたうえで最小限に絞り込んだ」(同)ほか、ベンチシートを独立シートに変更するなどの仕様変更を行っている。
 プラグイン ステラは、最高出力47キロワット・最大トルク170Nメートルの永久磁石式同期型モーターにより軽ガソリン車を上回るスムーズな加速性能と電気自動車特有の静粛性を実現。家庭用電源の100ボルト(15アンペア)で約8時間、200ボルト(15アンペア)で約5時間でフル充電が可能なほか、400ボルト(100アンペア)の急速充電なら約15分で80%(航続距離70キロメートル超)まで充電することで実用に耐え得る性能を確立している。

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このページは、web staffが2009年12月 9日 23:13に書いたブログ記事です。

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