トヨタ自動車が新たに豊田通商と開発したバイオポリエチレンテレフタレート(PET)は、原料置換により植物化された汎用モノマーを使用している。PETの原料であるテレフタル酸とモノエチレングリコールのうち、重量構成比で30%を占めるモノエチレングリコールをサトウキビ由来のバイオ原料に代えて製造したもので、「分子構造が既存のPET樹脂とまったく同じ」(三宅裕一車両材料技術部有機材料室主幹)なのが特徴だ。ポリ乳酸(PLA)のような新材料に対して、このような汎用モノマーの植物化は既存部品へ適用しやすく、「プロセス開発により汎用モノマーの植物化が進めば、(バイオプラスチックスに)置き換えやすい」(同)とその可能性に期待を寄せる。
同社では、バイオPETを来年初頭発売の「レクサスCT200h」のラゲージサイドボードとラゲージトリムへ採用する予定。またこれまでのエコプラスチックでは適用できなかったシートや室内カーペットといった繊維系の内装部品への適用と採用車種の拡大に取り組んでいく計画であり、バイオプラスチックの採用面積が内装部品の表面積の80%と、「SAI」を上回るバイオ化を実現した車両の量産化に乗り出す。
着実にバイオプラスチックの適用用途を拡大してきた同社だが、現状では一部車種に採用がとどまっているのも事実。物性や機能など素材としての特性向上が目覚ましいバイオプラスチックだが、「既存の樹脂は部品の製造プロセスも含めて無駄が極限まで省かれている」(同)ため、現在の経済環境下では、ライフサイクルアセスメント(LCA)の観点で環境に優しいからといって普及させていくのは容易ではない。「育てる人がいないと育たない」(同)という現実のもと、普及のポイントとして技術開発と認知度向上をあげる。
技術開発については、デンソーが開発したラジエータータンクのように「バイオプラスチックといえども従来以上の機能やコストなどを実現していることが必要」(同)だ。同ラジエータータンクは耐熱性などの基本的な要求特性は当然のこと、コストを抑えつつ耐塩化カルシウム性を7倍以上に向上させることに成功している。普及のためには従来材に対するプラスアルファの実現が求められており、同社でも「あらゆる角度から開発に取り組んでいく」(同)方針だ。
また環境技術といっても、ハイブリッド車や電気自動車などに比べてバイオプラスチックは、一般消費者が代替によるメリットを実感しにくいという課題がある。「主婦や小学生でも知っている」(同)状況をつくり、市場での評価を高めることが今後普及させていくためには欠かせない。
トヨタ自動車では、使用量が多い内装材の100%バイオ化を当面の目標に取り組む方針であり、中長期的には、より使用環境が厳しく高い特性が求められる外装材や構造部材への展開を狙う。

コメントする