ホンダ・インサイトの素材技術(5)IPUカバー・モーター絶縁材

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 インサイトのハイブリッドシステムは、フロント部分にエンジンとバッテリーを、リア部分にモーターを制御する『PCU(パワーコントロールユニット)』と『ニッケル水素バッテリー』で構成されるIPU(インテリジェントパワーユニット)を配置し、小型軽量化やコストダウンを実現している。このうち、IPUカバーの50%軽量化(当初の設計開発との比較)や、モーター組立工程の大幅な時間短縮に貢献したのは新規に採用された化学系素材だった。

 リアに搭載されるIPUは、近くを通過する排気管の熱から守るため、バスタブのような形状をしたIPUカバーで断熱している。「初期の設計段階では、このIPUカバーは断熱性確保のため2重化していたが、大型部品(ポリプロピレン製)であり、1重に減らしたかった」(大岸秀高研究員)。検討の結果、インサイトでは新たに住友スリーエム社製の高耐熱シンサレートを採用することで、カバーを1つにできた。
 高耐熱シンサレートは、シンサレートのマットにアルミをラミネートしたもので、空気層相当の高い断熱性能を持っている。これをIPUカバーの排気管が通るサイドに設置することで、2重のIPUカバーが不要となり、50%の軽量化を達成した。インサイトでは、シンサレートを吸音材として軽量タイプと厚手タイプの2種類採用したが、高断熱タイプを含めて全体で3種類採用したことになる。
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 一方、モーターの絶縁材料として採用しているシリコーンについては、シビック・インサイトの製造ラインと比べ、充填?硬化時間を10分の1に短縮する高速硬化型シリコーンを採用し、ラインの大幅なスピードアップを達成した。
 インサイトは、日米欧で年間20万台という販売目標を掲げており、実質5万台規模のシビック・ハイブリッドに対し一段の量産性向上が求められる。モーターでは、これまでタクトタイム短縮のネックとなっていた充填?硬化時間の改善に取り組む必要があった。
 このため、「生産ライン側とエンジニアリングが一体となり、課題を共有し、新規の材料開発を推進した」(同)という。部材を供給したモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズの竹澤好昭グローバルマーケティングシニアマネージャーも、「今回、採用する部位を指定した開発の協力要請があり、ホンダさんの生産現場に合わせた開発が推進できた」と述べている。
 採用したモーター絶縁用のシリコーンは、常温あるいは加熱することで硬化するRTV液状シリコーン。硬化時間の高速化は、樹脂の重合触媒の新規開発と反応制御剤との組み合わせで実現した。また、目的とする場所に、目的とする量を安定的に塗布できるようするため、分子設計の改良によりトレードオフの関係にある『粘度』と『チクソ性』の両立を図った。こうした機能向上を図ったうえでシリコーン本来の特性をキープしているという。新規の素材開発がホンダのハイブリッドの生産効率を進化させた事例といえよう。(特別取材班)

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このページは、web staffが2009年4月10日 15:10に書いたブログ記事です。

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