進化するマツダの高分子技術(上) 発泡射出成形

| コメント(0) | トラックバック(0)

 世界的にCO2排出削減ニーズが高まるなか、自動車各社は低燃費化の取り組みを加速させている。今年に入り電気自動車をはじめとする次世代環境対応車の開発・実用化の勢いが増しているが、それでも喫緊の課題はガソリンおよびディーゼルエンジン搭載車種の燃費向上だ。ハイブリッドシステムをはじめとする低燃費技術の1つに車体軽量化があり、軽量化を目的とした金属部品の樹脂化が急速に進んでいる。環境対応車の開発を推進するマツダの動向を探った。

 ◇
 樹脂化を背景に車体材料の変革を促す可能性を秘めているのがマツダが開発した新発泡射出成形技術だ。開発を担当した技術研究所の栃岡孝宏主幹研究員は「生産性の観点から樹脂部品の製造法は射出成形がベスト」と言い、新技術も射出成形での実用化を前提に開発を進めてきた。
 その特徴は、窒素や二酸化炭素などの一般的な不活性ガスを超臨界流体化させたものを発泡剤として利用して、分子レベルにまでとけ込ませて流動性を60%向上させ、金型への高速充填により表面から0・5ミリメートル厚ほどの無発泡のスキン層、その内側に均一かつ微細な直径10?20マイクロメートルのマイクロセル層、コアバックにより任意の大きさに気泡を成長させた低密度層(発泡層)という複層構造を形成できるようにしたこと。有機系発泡剤に対して8倍の発泡圧力を有している。発泡層は樹脂が厚み方向に柱状に成長しており、使用量を20?30%程度低減しても実用上必要な剛性を確保できる。
 特筆すべきはその汎用性だ。ポリプロピレン(PP)やナイロン、ABSはもとよりガラス繊維(GF)強化グレードなど自動車に使用されるほとんどのプラスチック部品に適用可能。また、表面が固くソリッド状となっているため従来の発泡樹脂では難しかった溶着や塗装といった加工ができるほか、「近年の射出成形機の電動化により高精度制御が可能となった」コアバックで発泡を制御するため、スライドコアを採用すると同一の成形体において任意に厚みをコントロールできることから、ボルト締結が可能な発泡部材の製造も可能。
 発泡体なので断熱性能や吸音性能といった機能を付与した軽量部材として内外装やエンジンルーム回りでの展開も可能。また、PP製のインパネ下部のアンダーカバーに採用した場合には、新技術適用により吸音性能が付与可能。
 新技術により炭素繊維(CF)強化PPでは「スチールに匹敵する比剛性が得られる可能性がある」という。また、ウレタンの代替としてインパネのクッション材などへの展開も可能だ。同社では2011年以降の新世代プラットホームに本格採用する計画で、さらなる車両軽量化を進める。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://27.34.136.204/cmt/mt-tb.cgi/1663

コメントする

このブログ記事について

このページは、web staffが2010年1月12日 16:44に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「住友電工、焼結部品を自動車向けに高機能化、軽量化・磁性用途で」です。

次のブログ記事は「進化するマツダの高分子技術(下) バイオプラスチック 」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。