富士重工業「プラグイン ステラ」 EV商業化への試金石(下)

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 今年6月に発表されたリチウムイオンバッテリー搭載の電気自動車(EV)「プラグイン ステラ」。ランニングコストは軽ガソリン車に対して昼間の電力で約5分の2、「深夜電力をうまく使用すると5分の1」(大崎篤プロジェクトマネージャー)にまで抑えられる。3ウェイ充電による実用性や走行中のCO2排出がゼロという環境に対する優しさと相まって消費者に対するアピール度は高い。しかし、車格が軽自動車ながら472万5000円と高級車並みの価格から、販売は官公庁や企業など法人が主となっている。

 普及に向けての最大の課題はバッテリー性能。プラグイン ステラの場合、おおむね車体重量の5分の1、製造コストの3分の2をリチウムイオンバッテリーが占めている。家庭用電源での充電を可能としているだけに、バッテリーの低コスト化および軽量化がカギを握る。一般消費者層への普及は「環境性能やランニングコストの優位性を考慮しても軽クラスで150万円前後に収まらないと難しい」とみる。
 また、EVへの変更で浮上してきたのが電力系ハーネス関連。バッテリーとモーターをつなぐハーネスは400ボルトの大電流を流すため従来に比べて格段に太くなる。プラグイン ステラではバッテリーに内蔵した192セルを個々に接続していることもあり、ハーネス重量は従来の3倍を上回る。そのためハーネスの軽量化および「配線のシンプル化が必要」(同)との認識だ。
 さらに電費効率の優れたシステム設計の開発も欠かせない。例えば、ガソリン車ではエアコンのコンプレッサーの動力源としてエンジンを活用しているが、EVでは電動コンプレッサーを搭載してリチウムイオンバッテリーから電力を供給しているためガソリン車以上にエアコン負荷が航続距離に影響する。その一方で「ガソリン車では走行中に燃料が増えることはないが、EVはそれが可能」(同)であり、プラグイン ステラでも回生ブレーキシステムの採用によりエネルギーの有効活用を図っている。今後、こうしたEVの特性を踏まえたより効率的なシステムが構築できるか否かによってEVの性能・品質が大きく左右されることになりそうだ。
 これ以外にも、優れた静粛性によりこれまで気にならなかったロードノイズ等が意識されるようなるため、「より静かなタイヤの開発が必要になってくる」(スバル商品企画本部の福島儀隆主査)ほか、「エンジンルームをコンパクト化して、その分を車室に持っていくことが可能」(大崎プロジェクトゼネラルマネージャー)なことから、本格普及に向けては専用車体の開発が求められる。
 こうした開発は、設計や製造といった基本部分で既存の車作りと共通、もしくは密接にかかわっている。EVは構造が単純になるため参入障壁が低くなるという見方があるが、「車体を調達してモーターとバッテリーを積むだけなら可能だが、安全性能や耐久・信頼性など車作りの基本部分は技術ノウハウの塊」(同)だ。富士重工業ではEVを環境対応技術の柱の1つとして、プラグイン ステラを通して培った知見や技術ノウハウをベースに本格的な普及に向けた取り組みを加速していく。

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このページは、web staffが2009年12月10日 23:15に書いたブログ記事です。

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