ホンダ・インサイトに見る素材技術(3)軽量・高静寂性の吸音材

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 ホンダは、06年から4輪車の室内の防音コンセプトを『遮音タイプ』から『吸音タイプ』に一新した。新コンセプトにより、新機種の防音材の重量は初代フィットに対し約4キログラムの軽量化に成功する一方で、静粛性は1ランク上のレベルを達成したという。新型インサイトではさらに、HVとして吸音材の最適配置を行った。その一例として、内装裏の吸音材として採用した住友スリーエム社の『シンサレート』については、さらなる軽量化や厚手化を図った。

 06年発売のシビック以前は、エンジンルームと室内の間にゴム系の重量層を配置し、音の進入そのものを遮断することで防音していた。新コンセプトではこの重量層をなくし、室内にある程度の音を透過させたうえで、吸音機能を持たせた各種の材料で音を減衰させるようにした。静粛性の向上と軽量化を両立するためで、現行フィットも同じコンセプトを採用しているという。
 新型インサイトで採用した防音材の種類をみると、ダッシュパネル周りのダッシュインシュには密度の異なる2層のフェルトを、フロアカーペットにはPETを主体とした材料とフェルトを採用した。ルーフライニングは防音性を持つ表皮と基材ウレタンによる材料を採用して吸音機能を持たせ、さらに内装裏には住友スリーエム社の『シンサレート』を採用した。
 このうちシンサレートは、従来品に対しさらに軽量化したものをドアライニングの裏に採用したほか、トランク周りの空隔を埋めて防音性能を持たせるケースでは、軽量でありながら非常に高性能で厚手のタイプを採用した。
 インサイトの開発でNVを担当した上村光平研究員は、「吸音材としては、住友スリーエムのシンサレートを超えるものがここ何年も出ていない。非常に軽いうえ耐候性が高く、ホンダとしてはベストの吸音材だと考えている」ときわめて高い評価を与えている。
 シンサレートは、繊維径約2マイクロメートルという極細のポリプロピレンファイバーと、繊維径約25マイクロメートルのポリエステル短繊維とを特別な製法で一体化した不織布。非常に軽量で羽毛(ダウン)のようなかさ高さを併せ持っている。その高い断熱機能から、もともとスキーウエアーなど衣料品の中綿として有名だが、優れた吸音機能も併せ持つことから工業用にも用途を広げている。
 住友スリーエムの二階堂芳史・自動車産業システム事業部マネジャーは「シンサレートはかさ高く、空気を大量に含んでいることが高性能の理由。組み付けの良さなどの機能も武器に、さらに強いポジションを築きたい」と語る。
 ホンダは、06年以降の新機種については防音コンセプトを全て吸音タイプに切り替えたという。「これにより、防音材の大幅な軽量化に成功しているが、さらなる軽量化を追求していきたい」(上村研究員)としている。(特別取材班)

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このページは、web staffが2009年4月 8日 14:58に書いたブログ記事です。

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