ハイブリッド技術で業界をリードするトヨタ自動車。植物資源を原料とするバイオプラスチックでも世界最先端の取り組みを行っており、昨年12月にはバイオプラスチックの採用面積が内装部品表面積の60%を占める「SAI」を量産化した。二酸化炭素(CO2)排出削減など社会的な環境要請が厳しくなるなか、すでに研究開発は「従来のコストと機能の2軸から、環境を加えた3軸へ」(三宅裕一車両材料技術部有機材料室主幹)と変わっている。同社のカーボンニュートラルな材料開発の取り組みを追った。
トヨタのバイオプラスチック開発は「メーカーの社会的責任の一環」(同)として、世界的にも早い1990年代にさかのぼる。環境取り組みの実行計画である「トヨタ環境取組プラン」において、ハイブリッドなど次世代環境車の技術と並び、開発テーマの1つと位置づけられており、01年の東京モーターショーで世界で初めてバイオプラスチックのコンセプトカーおよび技術展示を行ったほか、03年には植物繊維のケナフとポリ乳酸(PLA)の複合材によるスペアタイヤカバーを世界で初めて量産化した実績を有する。
「ラウム」に採用されたスペアタイヤカバーは、ライフサイクルアセスメント(LCA)の手法による試算で、材料製造からサーマルリサイクルまでのCO2排出量をポリプロピレン(PP)で製造した場合と比べ、80%以上削減を達成。以来「PLAの適用技術やウレタンのバイオ化など幅広く取り組んできた」ことで、現在推進中の第4次環境取組プランまでに各種バイオプラスチックの実用化技術を確立している。
開発の現場では原料調達を含めたトータルな材料設計を実践。過去に実証プラントによるPLAの製造を手掛けた時期もあり、「製法から特性までを理解していないと材料として使いこなせない」(同)ことから、その取り組みは徹底している。
こうした10年以上におよぶ研究開発の結果、SAIでは天井やピラーガーニッシュ、サンバイザーの表皮に量産車として世界で初めてバイオプラスチックを採用。またスカッフプレートやラゲージトレイなどの射出材やラゲージ表皮、シートクッションなどこれまで以上に広範囲な部材への適用を実現している。
11月に発表した新開発のバイオポリエチレンテレフタレート(PET)では「既存のPETと同等の特性やコストを実現」(同)しており、さらなる適用用途の拡大を可能としている。11年度からスタートする第5次環境取組プランでも、電気自動車や燃料電池ハイブリッド車などとともに、バイオプラスチックのさらなる開発・実用化に取り組んでいく方針だ。

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