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欧州で着実に広がる化学企業の投資
化学企業の投資で現在、注目を集めているのは北米。シェールガスの開発が進み、安価な原料を入手できることから大型の投資が相次ぐ。北米には及ばないものの、欧州でも化学企業の投資が着実に広がっている。
コベストロは、スペインでジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の生産体制を強化する。同国のタラゴナにおいてクロルアルカリの自社生産に踏み切るほか、ボトルネックを解消してMDIの生産能力を引き上げる。投資額は約2億ユーロに達する。計画では、まず2020年末までにクロルアルカリの生産を開始し、塩素の自給体制を整える。MDIは年5万トンの能力を加える。これによってタラゴナの生産能力は年22万トンになる。22年には工事を終える予定となっている。
タラゴナのプラントは当初、17年末に閉鎖する方針だった。しかし17年3月、生産を当面継続する方針に転換、さらに17年末に2億ユーロ規模の投資計画を打ち出した。
独ブルンスビュッテルでも生産活動を取りやめたトリレンジイソシアネート(TDI)設備をMDI用に転換、18年末までに生産能力を引き上げるプロジェクトを進めている。
イネオスは、欧州で酢酸ビニルモノマー(VAM)事業に再参入する。年30万トンの生産体制を構築する計画で、英国やベルギー、ドイツを候補地として詳細を詰める。同社は08年にBPが英国に保有していたVAM工場を買収して事業参入したが、リーマン・ショック後の欧州経済の冷え込みに加え、原料コストに高い優位性を持つ米国や中東からのVAMが欧州に流入。その結果、事業の収益性が悪化し、13年には英国での生産活動から撤退していた。
米国企業では、ウエストレイクケミカルがドイツで塩化ビニル樹脂(PVC)と原料の塩化ビニルモノマー(VCM)の生産能力を引き上げる。ブルクハウゼンで特殊PVCを増強する一方、ゲンドルフで電解設備の拡張および原料VCMを増強する。
いずれも需要の増大に対応するためのプロジェクトである。実際、欧州では化学品生産が順調に回復している。欧州化学工業協会(CEFIC)の最新のレポートでは、17年1―11月の欧州連合(EU)における生産は前年同期比3・8%伸び、08年の世界金融危機前の水準に近づいていることが分かった。17年1―10月のEUの化学企業の売上高は前年同期を8・4%上回り、4409億ユーロに達している。一連の投資が生産の伸びを後押し、企業業績にも好影響を及ぼすことは間違いない。