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機能性素材"守り"よりきめ細かく
機能性化学素材の需要が予想を上回るスピードで拡大している。自動車の環境規制や、情報通信技術の進歩の加速による半導体需要の増大などが背景にある。またアジア地域を中心とした中間層、裕福層の人口増大により、日用品や食品関連などの分野で高品質素材のニーズが高まっている。ただし、そうした素材は、いずれ他国の化学企業の事業参入などによって付加価値が低下することも予想される。日本企業は、収益源である機能性化学素材の競争力強化に向け、よりきめ細かな戦略が必要となろう。
日本の化学企業は合成樹脂やエラストマーのコンパウンド、機能性フィルム、機能性繊維、不織布などの拡張計画を相次ぎ発表している。日本の高品質な材料を必要とする自動車内外装材、液晶ディスプレイ、バッテリーセパレーター、食品包材、紙おむつなどの需要が伸びているためだ。各社は、コモディティ製品の高収益は一過性と捉え、今後も付加価値の高い機能性化学品の分野に経営資源を集中する基本戦略を変えていない。
ただ機能性素材にも他社の追随を許さないハイエンド品と、ハイエンドとまでは言えないが汎用品よりは付加価値が高く、日本企業が高いシェアを持つため収益源となっている高機能品がある。そうした高機能品については今後、アジア各国の企業が事業参入を狙っており、いずれは競合が激化して汎用化するものも出てこよう。
とくに東南アジア地域などで川上の基礎原料を展開するローカル企業は、付加価値の高い機能性化学製品への参入意欲が強い。ローカル企業が独自に川下製品に参入してきた場合、原料を持たない日本企業は窮地に立たされる可能性もある。またローカル企業との合弁で機能性化学素材を現地生産しているケースで、技術移転などを求められることも容易に想像できる。
情報電子材料系の素材については、もともとライフサイクルが短い。他国企業の参入などで付加価値が急激に下がる一方、いち早く次世代品を開発した日本企業が再び優位性を取り戻すことも少なくない。
ライフサイクルの比較的長い自動車関連部材、日用品関連などは、他国企業の参入がシェア喪失や永続的な事業の汎用化を招く危険が高い。そうした分野で守るべき製品については、他国企業に事業参入を断念させたり、参入のタイミングを可能な限り遅らせるような戦略が求められる。場合によっては、互いにメリットが出るような分業体制の構築など、大胆なアライアンスも選択肢として用意する必要があろう。