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2017年10月11日 前へ 前へ次へ 次へ

日本モンサント・中井秀一社長 インタビュー

 世界の種子業界をリードする米モンサント。日本法人である日本モンサントの中井秀一社長が就任して約半年が経過した。中井社長に最大のミッションである世界中で栽培、開発される遺伝子組み換え(GM)作物の申請登録業務や運営姿勢を聞いた。
 ― まず経営者としての心構えを。
 「モンサントグループは世界で従業員約2万人を擁する。日本法人は小さな組織だが、幸いなことに優秀な人材が揃っている。私としては、彼らが100%の力を発揮できるように環境を整えることに気を配っている。各部署それぞれが持つ目標を達成することが、結果としてモンサント本社の目標達成につながることは間違いない。各部署の目標、ストラテジーの接点を見い出し、共有しやすい環境にすることに努力していきたい。協力による相乗効果でより高いレベルで目標を達成することを念頭に、運営を図っている」
 ― GM作物の許認可取得はどのように。
 「トウモロコシ、ダイズなどGM作物を日本で流通するための許認可は、食品・飼料・環境の3つのデータを揃えることが求められる。食品と飼料の必要な安全性データは、基本的に米国本社で作成される。日本法人の役割は、日本の規制当局からどういったデータが求められるのかを理解し、開発初期段階から本社とコミュニケーションをしっかり取りながら、申請する際に日本で必要なデータをきちんと揃えておくことにある。申請後は、審査を行う専門家会議で説明し質問を受け、必要があれば米国本社に再度データ取りを依頼する。こうした活動に2―3年かけ、丁寧に認可取得まで進める。また環境については、米国データに加えて国内の隔離ほ場試験でもデータを取得する必要があるため、データをまとめて農林水産・環境両省合同の専門家会議で審査をしていただく」
 ― 日本の規制をどうみていますか。
 「日本の安全性を評価する審査は、全般に科学的根拠に基づき行われている。GM作物は、初の認可案件から20年経過し知見の蓄積がある。日本の審査は科学的知見の蓄積をベースに必要に応じ改善していく点からみても、世界の国々から高い評価を得ていると思う。今後、日本がさらに効果的、科学的な評価手法に磨きをかけ、レギュラトリーサイエンスの分野でアジアなど他国の審査モデルとなるように、申請する企業の立場から協力できればと考えている。効果的、科学的なレギュラトリーサイエンスの確立を通じて、世界でGM作物の開発・商品化が一部の大企業だけでなく、技術力のあるベンチャー企業、公的研究機関などにスムーズに広がることを望みたい」
 ― GM作物の国民理解に向けた取り組みはどのように進めますか。
 「フェイスブック、ホームページ、ブログを通じ積極的に情報公開している。しかし悪いイメージがあることや誤解されていることは否めない。日本法人では、安全性評価をしっかりやっていることや環境負荷低減に役立つことなど、活動を分かりやすくする取り組みに心がけている。科学と社会をつなぐサイエンスコミニュケーションを担う人材育成も支援していきたいと考えている。また、現状の表示制度の影響は大きいと感じている。知る権利を保障するための表示制度のはずが、『組み換えでない』表示だけが目につくようになり、"GMは使わない方がいい"というメッセージになってしまっているのは残念だ」
 ― 世界大手種子メーカーは再編が進んでいます。
 「コストをかけた精密農業を通じ、サービスを生産者へ提供していく流れになるだろう。すべてを効果的に組み合わせ、研究開発していく。種子だけでなく、作物保護(農薬)、肥料など資源を効率的に投下するための手段だと思う」
 ― 日本企業などとの提携は。
 「一例を挙げると、住友化学が開発する次世代除草剤に耐性を持つGM作物をモンサントが開発するなど、日本企業との連携は今後も進んでいくとみている。個人的な意見だが、遺伝子の機能解明など基礎研究は日本が進んでいるし、より小規模な農家に利用してもらうために精密農業を最適化することも日本の高い技術力であれば可能ではないかと考えている。このように日本の企業との共同研究の可能性があるのではないか」
(聞き手=高橋善治)


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