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オールジャパン体制で変革に挑め
化学産業では、ここ数年、素材市況の好転や機能製品(スペシャリティ製品)の成長を背景に、各社が順調に業績を伸ばしてきた。その結果、2016年度の利益水準は、これまでピークだったリーマン・ショック前を上回り、新たな成長ステージを迎えたと言える。多くの企業が20年あるいは25年ごろのあるべき姿を改めて設定したうえで、売り上げ規模の拡大をともなった利益成長を目指す構えを見せ始めた。
世界の政治経済で台頭する保護主義や、米シェール革命に代表されるコモディティ分野の新増設ラッシュと供給過剰の懸念など、先行きに不安要素がないわけではない。一方でアジア地域を中心に、一定の購買力を持つ中産階級の急激な増大が見込まれており、コモディティ製品とともに、付加価値の高い機能製品分野の需要拡大も期待されている。
現在、日本の化学企業の成長戦略はヘルスケア、ICT、モビリティ、食料・食品、環境・エネルギーといった分野がターゲット。最先端のソリューションを提供する差異化されたスペシャリティ製品の拡大を基軸に据えている。自社が優位性を持つ、いわゆる得意分野において他国・他社の追随を許さぬ「ナンバーワン」「オンリーワン」の製品をいかに増やすかが、その本質といえる。
一方、モノづくり産業は、情報通信技術(ICT)の革新的な進歩を背景に「第4次産業革命」と呼ばれる大転換の時代に突入している。ビッグデータを進化した人工知能(AI)によって処理・分析することで、製品開発から製造、販売、物流まで、あらゆる段階で革命が起こると予想されている。また、ここにきて電気自動車(EV)の台頭や自動運転技術の急進展など、自動車産業のパラダイムシフトも鮮明になってきた。
こうした変革は、最先端の機能製品を提供する日本の化学産業にとって大きなチャンスであると同時に、いままでにないチャレンジと言える。積み上げてきた知見や優れたモノづくりのノウハウを磨くだけでは済まない。膨大なデータや情報を活用することで生まれる知見を事業の各段階に組み込まなければ、新たな競争に勝ち残れない。
すでにドイツ、米国、韓国、中国をはじめとする各国は、時代の先陣を切る新たな産業構造を確立して世界をリードするべく、国家横断的な連携体制の下で動き始めている。わが国の化学産業も、業界横断的な取り組みや他産業との連携を図りながら、オールジャパン体制でイノベーション創出に挑むことが急務である。