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2017年06月06日 前へ 前へ次へ 次へ

組み換え食品に対する不安の根本は

 内閣府の食品安全委員会は先月、遺伝子組み換え(GM)ジャガイモについて「人の健康を損なうおそれはない」と結論づけた。このジャガイモは米J・R・シンプロット社が開発したもので、加熱した場合に発生するアクリルアミドの量が一般的なジャガイモに比べて少ない。アクリルアミドを大量に食べると、神経障害を起こすことが確認されており、ある国際機関では「おそらく発がん性がある物質」の一つにアクリルアミドを分類している。つまりアクリルアミドの発生が少ないだけ、一般的なジャガイモよりも安全といえる。
 しかし日本以上にアクリルアミドが問題視されている米国では、フライドポテトの材料としてジャガイモを大量に使っているマクドナルドが採用を見送った。理由は、ただGM食品であるからだ。
 GM食品は日本でも印象がよくない。バイテク情報普及会が2015年に、生活者2000人にGM食品について抱いているイメージを聞いたところ「怖い・悪い」「どちらかといえば怖い・悪い」が合わせて3分の2を占めた。最大の理由を見ると「商品にわざわざ『使用していない』と記載されている」点だった。
 今回の食品安全委員会での審議に先んじて募集した意見のなかにも、GMジャガイモに対して、理由を述べることなく「許可しないように」と求めるものがいくつかあった。こうした意見に対し、食品安全委員会の下部組織である遺伝子組換え食品等専門調査会は「国で定めた基準に基づいて確認した結果、人の健康を損なうおそれはないと判断した」と回答している。しかし、そもそもGM食品に対する不安は科学的知見に基づくものではない。故に反対意見を投じた人が、この回答に納得したとは思えない。
 消費者庁は今春、GM食品の表示のあり方を見直す検討会を立ち上げた。ここでは消費者の安心に配慮し、その自主的で合理的な選択に資することが目的とされ、安全性については表示の有無にかかわらず国の審査によって担保されていることが前提となっている。確かにGM食品への不安は欧米や中国などでも広がっており、科学的な観点から「それは迷信だ」と切り捨てるには余りある。しかし表示が不安を呼んでいる現実からすると、このやり方ではGM食品が世に出ることはない。
 コメの栄養価を高めた「ゴールデンライス」のように、命を救うGM食品もある。GM食品に対する不安の根本を見つめ直し、技術的な成果を社会に生かす道を拓くべきではないか。


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