八千代工業は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂成形品の無塗装化技術を開発した。射出成形技術をベースに、独自配合の着色材料を開発して実現した。無塗装化が困難なピアノブラック色の量産技術を確立するとともに、シルバーメタリック色も基本技術の開発を完了させ、今期中にも実用化する計画。樹脂成形品の低コスト、環境負荷低減が可能となることから、自動車内装材をはじめとする幅広い分野へ提案する。市場ニーズを見極めながらポリプロピレン(PP)やナイロンなどにも広げていく考え。
樹脂部品の無塗装化は、揮発性有機化合物(VOC)排出削減など環境負荷低減や工程省略化によるコスト削減などを可能とする技術。環境意識や低コスト化ニーズを背景に白や黒などのソリッド色では、着色剤や光輝剤などを樹脂に混ぜることで塗装を廃止することが広く行われている。しかし、ピアノブラックやシルバーメタリックでは、光輝感を高めるとウェルドラインやジェッティングマークといった外観不具合が発生するため無塗装化が進んでいない。
同社は完成車の組み立てを手掛けるホンダ系自動車部品メーカー。部品事業では板金部品や樹脂製燃料タンク、二輪車部品などを展開しており、樹脂部品ではバンパーやインスツルメントパネル、ホイールキャップといった射出成形品を製造・供給している。
新たに開発した無塗装化技術は、金型温度や樹脂の流動性をコントロールしたウェルドレス成形技術をベースに実用化した。フィラーの配向制御によりウェルド部のヒケ配向をなくすことでメタリック色での塗装フリーを可能としており、ピアノブラックで表面粗さ(Ra)0・087マイクロメートル、シルバーメタリックで同0・101マイクロメートルと優れた平滑性を実現している。
ピアノブラックでは透明樹脂とのアロイで深みのある黒を再現し、光輝材の配合によりラメ感の付与も可能。また、実用化に向けてコスト面での作り込みを行っているシルバーメタリックでは、意匠性フィラーを一様に配向することで反射光を強め金属調を再現している。新技術の採用により塗装工程が不要となり工程の簡素化や不良率が低減できる。製品は傷が目立たず、材料にゴム成分を含まないためポリッシングにより傷をぼかすことも可能。

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