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中古住宅の流通拡大へ仕組み作りを
日本の人口が減少に転じたのにともない、空き家の増加がクローズアップされてきた。総務省が2013年にまとめた「住宅・土地統計調査」によると全国の空き家総数は820万戸。空き家率(総住宅数に占める割合)13・5%とともに過去最高となった。この数字を疑問視する向きもあるが、空き家が増加基調にあることは疑いの余地がない。多様な対策の検討・導入が急がれる。加えて言えば中古住宅に対する価値観や考え方を根本的に変えることが、空き家を含む中古住宅の流動性向上、引いては住宅関連産業の活性化につながるのではないか。
欧米では、古い物件をメンテナンスして長く利用する習慣が根付いており、かつ中古住宅の取引価格も容易に下がらない。住宅流通に占める中古住宅の比率は米国や英国で9割前後、フランスも6割を超えている。
一方、日本では新築志向が根強い。加えて物件価値が時間とともに、たちまち下がる。欧米流の考え方であれば、手の加え方次第で住宅の価値が上がり、投資対象の一つとなるのに対し日本では、そうではない。
"大きな買い物"という点で乗用車はどうか。15年の新車販売台数270万台に対し、中古車販売台数は327万台と相対的に多い。新しいものを求める消費者意識や耐用年数の差もあろうが、住宅は自動車に比べて評価制度、情報開示など中古物件を取り巻く仕組みが十分でないのかもしれない。
少子高齢化が進むなか、今後は日本も住宅投資額と資産額との乖離を小さくしていくことが望ましい。30年前後の長期ローンが多くの世帯にのし掛かっているのが現状だが、住み続けた家でも資産価値を維持できるならライフプランが一変する。可処分所得の増加で消費拡大も期待できそうだ。
産業への波及効果も大きい。長期的に資産価値が維持されるのと逓減していくのとでは、部材や内外装にかけるコストや求められる付加価値、機能性も大きく異なるだろう。リフォーム時にも、資産価値をにらみながら耐久性、意匠性をはじめとした、より高機能な材料が選ばれていく可能性もある。
10年に閣議決定された新成長戦略には「ストック重視の住宅政策への転換」が掲げられている。そこでは20年までに中古住宅流通市場やリフォーム市場の規模倍増を目指している。ただ現状のままでは目標達成は難しそう。問題解決には多様な仕組みの改善が必要となる。まずは消費者の視点に立ち、中古物件に関する情報開示のあり方、中立・公正な建物検査の仕組み作りを急ぐべきだろう。