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2016年08月10日 前へ 前へ次へ 次へ

人工衛星新時代 欧米に後れ取るな

 1957年、ソ連が「スプートニク1号」を打ち上げてから半世紀以上が過ぎた。その人工衛星が、ここに来て新たな発展の時を迎えようとしている。民間の手による超小型人工衛星の打ち上げ計画が目白押しとなっているもので、新たな通信・観測サービス市場の創造につながる可能性が大きい。ただ人工衛星に関しても、IoTや人工知能(AI)と同様、グーグルなど欧米勢が先行している。日本も後れを取ってはいられない。官民の連携強化とともに、国際標準作成に関わるなど積極的に産業育成を図る必要がある。
 超小型人工衛星は重さ100キログラム程度。これまでの数トンにも及ぶ人工衛星に比べ、文字通り小さい。そのため機能は限定され、製造コストも場合によっては数千万円程度で済む。また周回軌道が低いことから、通信速度が速く、鮮明な画像も期待できるという。そして従来の人工衛星と最も異なるのは、IT企業などの新興勢力が製造・運営に乗り出している点だ。
 数百から数千の超小型人工衛星を使えば、地球をカバーした通信インフラ網の構築が可能になる。すでに複数の計画が実行段階に入っている。地上にケーブル、光ファイバーなどを敷いて通信網を構築するより遙かに簡便なため、携帯電話と同様、インフラが整備されていない新興国で大きな需要が見込める。世界中が、さらに"つながる"ようになるわけだ。
 加えて従来にない市場の創出が見込めるのが観測システムである。人工衛星を使った観測は現在、軍事利用や気象観測が大半だが、近年は「グーグルマップ」に代表されるように民間にも広がっている。超小型人工衛星の普及により、これに一層拍車が掛かるだろう。AIと組み合わせて画像の処理・解析を行い、経済・生産活動などをリアルタイムで把握できれば、設備や装置を遠隔操作することも可能だ。このサービスなしでは、多くの企業が競争力を維持できなくなるかもしれない。
 超小型人工衛星のほかに、ドローン(無人飛行機)のような形態の「高高度疑似衛星」も開発が進んでいる。人工衛星を軸とした宇宙関連技術もIoT、AI、ロボティクスなどと並ぶノベーション領域であることは間違いない。しかし日本における取り組みは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などに限られ、まだまだ民間では活発と言い難い。法規制や標準化をベースに市場の占有を図るのが、欧米を中心とした世界の産業政策の流れだ。日本も座して待っている場合ではない。産業プラットフォームの構築に関与すべく早期に手を打つべきだ。


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