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2016年07月25日 前へ 前へ次へ 次へ

スポーツの価値向上と化学

 ロシア陸上界の国ぐるみのドーピング違反に関して、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は21日、来月のリオデジャネイロ五輪への出場を希望する同国陸連と選手の訴えを却下すると発表した。メダルの有力候補と目された選手たちも出場を閉ざされた▼その一人、女子棒高跳びのエレーナ・イシンバエワ選手は「きわめて政治的な決定」とコメントに怒りと皮肉を込めた。同国選手すべてが違反をしていたわけではないが、これまでに露見した不正の実態は組織的で悪質。厳罰はやむを得ないだろう▼CAS決定の評価はともかく、「五輪=スポーツ+政治」という図式は昔から。1936年のベルリン大会は政治利用の典型的な例だが、どの大会でも開催国は国威発揚に利用した。80年のモスクワ五輪ボイコットはまさに政治主導だった▼他方、年を追うごとに商業主義が拡大し、クリーンではないスポーツビジネスも増殖。不正の温床にもなっている。「五輪はクスリまみれカネまみれ」と揶揄される所以である▼さてドーピングである。新たな分析・検出技術が開発され、検査をすり抜けるのが難しくなった。違反すれば摘発されるから抑止効果にもつながる。スポーツの価値向上に化学が貢献しているのは嬉しいことだ。不正を働く側にもケミストがいるのは甚だ残念だが。


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