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リスクアセスメント その第一歩は
改正労働安全衛生法(安衛法)の施行により、化学物質のリスクアセスメントが義務づけられて1カ月が過ぎた。ただ「周知が徹底されないまま、枠組みだけが先に決まった」(業界関係者)感があり、ある化学品コンサルタントは「問い合わせの電話が鳴り止まない」とこぼす。リスクアセスメントのやり方などを紹介するセミナーなども多く開かれているが、安衛法が改正されたことを、まだ知らない事業者も少なくないという。
天然、合成にかかわらず化学物質は何らかの危険性や有害性を持ち、化学物質を製造・使用するすべての現場には、化学物質による事故や健康障害が発生するリスクがある。一方で、化学物質は社会に計り知れないベネフィット(有益性)をもたらす。すべての化学物質を一律に厳しく規制すればリスクを無くせるかもしれないが、ベネフィットは享受できなくなる。
6月1日に施行された改正安衛法では事故を未然に防ぐ仕組みとして、一定の危険・有害性のある640物質について、これまで努力義務としていたリスクアセスメントの実施を義務化した。化学物質を使用する者自らが化学物質の持つリスクを理解し、リスクが顕在化しないよう適切に使用することでベネフィットを最大限に享受する。これが化学物質との付き合い方の基本。リスクアセスメントの義務化は当然の流れといえる。
ただ化学物質の危険性や有害性は千差万別であり、化学物質を取り扱う現場も多種多様。リスクアセスメントに決まった方法はない。実際に改正安衛法では、リスクアセスメントの指針を作り、リスクを評価するための手法も紹介しているが、詳細なルールは定めていない。リスクアセスメントは義務だが、その方法は任せたということであり、事業者が戸惑う要因の一つになっている。
日本化学工業協会、化成品工業会などの化学関連団体や化学品コンサルタントは頻繁にセミナーを開いており、とくにマンパワーや専門知識の少ない中小の事業者の支援に力を注いでいる。ただリスクアセスメントを行わなければならない事業者の数は500万社にも及ぶとされる。義務化を認識していない事業者も数多いようだ。
関係者からは「周知不足。義務化のタイミングが早すぎた」との声がよく聞かれる。一方で「リスクベースによる化学物質管理の重要性をサプライチェーン全体に広める良い機会だ」と口を揃える。実際にリスクアセスメントを行うのは簡単でないが、何がリスクかを考え、現場で話し、注意し合うことが第一歩。まず、やってみて欲しい。