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2016年03月02日 前へ 前へ次へ 次へ

海外進出支える中小の水処理エンジ

 一般に自動車メーカーが海外に工場を建設すると、併せて多くの部品メーカーが現地生産に乗り出す。自動車メーカーは基本的に組み立て産業のため、大規模な用水・排水処理設備は必要ない。これに対し自動車部品に関わる工場は金属・樹脂部品の成形加工のほか、メッキ、表面処理、電着塗装、コーティングなど、さまざまなプロセスで構成され、水処理施設が不可欠だ。近年、これらの部品メーカー向けに水処理設備を手掛けるエンジニアリング企業が苦戦を余儀なくされている。
 部品メーカーは多くが中小企業であるため、建設する用水・排水処理設備の規模は大きくはない。建設費用も1件2000万―5000万円程度と比較的少額に止まる。このため大手の水処理エンジ会社では採算が取れず、主に中小の水処理エンジが手掛けている。
 ただ高度成長期には国内に約50社あった中小の水処理エンジが、最近では5社程度に減っているという。排水処理設備の設計・調達・建設(EPC)ビジネスで最も大きなネックとなるのは、設備の耐用年数が長いこと。電子材料の表面処理や塗装前処理、電着塗装からの排水を処理する装置は、一度建設すると更新は40年も先になる。無機凝集剤など消耗品以外、リピートオーダーが期待できない。中小の水処理エンジの激減には、こうした事情がある。
 国内市場が一段と縮小・成熟化するなか、これら中小の水処理エンジは海外に活路を見出そうとしている。中国、タイ、インドネシア、マレーシア、インドなどアジア諸国では、日系自動車部品メーカーの生産拡充にともない、現地で排水処理施設の需要が増加している。
 部品メーカーは通常、現地のエンジ企業に発注するケースはほとんどない。国内と同様に日系エンジ企業を選ぶ。商習慣の違いやアフターサービスの充実度が理由だが、何より環境規制をクリアできる技術レベルになくては操業停止のリスクが大きい。また海外では水質の問題から日本と異なり造水装置、用水装置が不可欠で、用水から排水まで一括発注することが多い。多くのノウハウと知見を有する日系のエンジ会社が有利だ。
 為替動向に左右されるとはいえ、日系企業のグローバル展開は今後も止まる気配はない。仮に最新鋭工場であっても、排水処理装置が不具合を起こせば生産ラインはストップする。稼働率を左右する重要な装置であることは、もっと意識されてよいのではないか。中小の水処理エンジには、引き続き日系企業を側面から支えるべく健全な発展を追求してほしい。


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