日本ゼオンは、水素化ニトリルゴム(HNBR)の普及拡大を推進する。独自素材の新ゼットポールにおいて、新規導入した架橋点との反応を利用した用途展開を新たに提案するもの。異種ゴムとの接着による積層部材への展開や表面摩擦抵抗の低減による動的シール部材への適用が可能であり、こうした機能をPRすることで新規用途や適用分野の拡大につなげる考えだ。同社では、素材としての可能性を追求することで同製品の用途分野を開拓していく。
同社は世界シェア60%を有するHNBRの最大手。シール・ガスケット向けを主に「ゼットポール」を展開しており、高岡工場(富山県)と米国テキサス州に生産体制を構築している。近年の自動車用途を中心とした高機能化ニーズの高まりを背景として需要は拡大傾向にあり、米国工場では来年2月の完工予定で25%の能力増強を実施する。
新ゼットポールは新規架橋点の導入により高水添化率を高架橋密度を両立させたHNBR。架橋点モノマーを導入した部分だけが架橋反応するため欠陥の少ない均一な架橋構造が得られるのが特徴であり、圧縮永久歪み性に優れ使用温度領域が広いほか、動的発熱が少なく高耐摩耗性を実現している。アクリロニトリル含有量によって耐油性グレード(ゼットポール2510)、耐寒性グレード(同3610)、耐油・耐寒バランス改良グレード(同3700)を製品化しており、国内外で採用および採用に向けた評価が進められている。同社でも来年9月に川崎工場(神奈川県)で専用プラントを立ち上げる計画だ。
新規架橋点を利用した展開では、架橋系を合わせることによって異種ゴムと加硫接着できることを利用した積層部材を提案する。特殊架橋によるアクリルゴム(ACM)との接着では、剥離試験(架橋条件160度C×40分、剥離速度50ミリメートル/分)における引き剥がし強度が4・4N/ミリメートルを有していることを確認ずみ。また、架橋点の一部を利用して反応性シリコーンオイルで変性させた場合、表面摩擦抵抗が4分の1程度まで低減できることから回転部や摺動部のシール材などで適用範囲の拡大が見込まれる。
同社では、想定している以外にも応用可能な用途があるとみて潜在ニーズの掘り起こしに取り組んでいく。

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