ポリプロピレン(PP)基材向け接着性樹脂が相次いで開発、製品化されている。PPは自動車をはじめ幅広い分野で採用が広がっているが、接着性が悪く、塗装には下地材が必要。三菱化学、住友化学はそれぞれ、塩素を用いないオレフィン系接着性樹脂を開発し、マーケティング活動を本格化させている。両社製品ともPPと優れた接着性を発揮し、脱溶剤化、低温加熱など環境特性も優れているのが特徴だ。
三菱化学は、ポリプロピレン(PP)基材向けの塗料用接着剤(プライマー)「アプトロック」を開発した。塩素や界面活性剤を用いていない水系エマルジョンであり、揮発性有機化合物(VOC)も含まない特徴を持つ。このほど年数十トンの生産体制を国内で構築。部品のPPへの置き換えが進む内外自動車メーカーを中心に展開し、2015年で10億円以上の売り上げを目指す。
軽量化を図るため、自動車分野ではバンパーやインパネなどで金属からPPに代替する動きが広がっている。PPはその構造の問題から、上塗り塗料を直接使うのは困難なことからPPと塗料をつなぐ有機溶剤系接着材料が使われる。ただ、VOCの排出規制などの高まりを受け、水系接着剤材料のニーズが増加。何種類か発売されているものの、塩素や界面活性剤を含むため、接着後に成分が表面に溶出し、外観不良や接着力の低下といった問題が生じてしまっている。
そこで三菱化学では塩素や界面活性剤を用いないプライマーの開発に着手。自己乳化技術という手法により、界面活性剤抜きでもエマルジョンとすることに成功した。併せて、原料に低融点の特殊PPを採用することによって、焼き付け温度も従来を30度C下回る90度Cで接着可能とした。
既に日本、欧州、北米で実車に採用されているという。販売数量の拡大に応じて、生産能力の引き上げも検討する。今後は中国市場の開拓を課題に位置付けるほか、PPとアルミの複合材料を使用する薬品やレトルト食品向けにも、順次、進出する方針。
住友化学は、環境配慮型接着性樹脂「スミフィット」を開発し、マーケティングを本格化させる。同製品は難接着性のポリプロピレン(PP)に対して優れた接着性を有する樹脂で、塩素を用いておらず、溶剤も不要にできる。PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂など他のプラスチック、金属、ガラスとも接着でき、低温の加熱条件でも高い性能を示す。
スミフィットはオレフィン系接着樹脂で、とくにPPとの親和性に優れている。PPは軽量・高強度・高耐熱の特徴から自動車部品に多く使用されているが、接着や塗装、印刷が難しいという欠点がある。そのためPPバンパーなどの部品に塗装するには、接着性に優れた下地材を必要としている。
スミフィットは、従来から使用されている塩素系接着樹脂と比べ、PP複合材、ガラス、ステンレス、アルミに対しては同等の接着性能を示し、従来製品ではほとんど対応できなかったホモPP樹脂、PET、ポリカーボネート(PC)樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂に対しても優れた接着性能を示す。このためPPを金属や他のプラスチックなどの機材に接着することが可能になる。
接着には熱処理を必要とするが、スミフィットは従来製品よりも低い加熱温度でも高い性能を発揮でき、60度でも90度で加熱した場合とほぼ同じ性能が得ることができる。荷姿はペレットのほか水系エマルジョンでも対応でき、脱溶剤・VOC(揮発性有機化合物)排出削減ニーズにこたえている。
幅広い用途で評価を受けており、今後ラインアップを広げていく方針。中期的には数十億円規模の事業に育成する。

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