デンソーは、オール樹脂製の電子スロットルを開発した。独自配合の高精度ポリフェニレンサルファイド(PPS)と直列式の同時成形技術の開発により、アルミ切削加工品と同水準の高精度化を達成したもので、重量680グラムと世界最軽量を実現した。オール樹脂製スロットルの製品化は国内初。新製品はバルブ組み付け工程数の削減を可能とするなど従来品に比べてコスト面でも優位性を確保している。すでに国内自動車メーカーに採用されており、同社では次世代電子スロットルとして採用拡大を図っていく。
スロットルは空気や混合気のエンジン内部への流入量を調整し、エンジンの回転速度や出力を調節する装置。低燃費化とエンジンの高出力化という相反する市場ニーズの高まりを背景に、これまでのメカ式から精密な吸入空気量制御が可能な電子式への転換が進んでおり、それにともない製品重量もモーターなど電子部品の装着で増加傾向にある。とくに近年普及傾向にある「アイドリングストップ機構には電子スロットルが不可欠」(機能品技術一部 村田泰祐設計二課長)であり、軽量・低コストかつ高性能な電子スロットルの開発が求められている。
スロットルの樹脂化の課題は、流量を制御するバルブとボディーのボア(筒)内径部との隙間精度をアルミの切削加工品と同水準に高めること。今回、材料には高精度と高強度を保証できるPPSを選択するとともに、「ガラス繊維やガラスビーズ、タルクといった補強材に対して樹脂の配合比率を50%以下に抑えた」(同)独自配合の高精度材料を開発。また、ボディーとバルブを1つの直列な成形体として射出成形する同時成形技術により、成形圧力の均一化を図りボディーとバルブの隙間ばらつき精度を一般成形方法に対して約80%低減することに成功。この「直列式の同時成形は世界でも類をみない」(同)という。
さらにアルミ製品ではボディー内部に温水を廻すことで低温下でのバルブ氷結を防止しているが、熱伝導率が低い樹脂ではその手法をとることができない。そのため新製品では、ボア内面に壁面を伝わってくる水を溜める溝(二重管構造)を設ける一方、バルブ表面に水をせき止める堤防形状を形成することで氷結の原因となる軸受部への水分侵入を防いでいる。
今回の製品化では樹脂の成形自由度を活用して、肉厚化や流線型整流リブの追加といったバルブ形状の工夫で圧力損失や全開流量の向上なども図っており、すでに月産2万?3万個規模で量産化している。同社では、今後もスロットルのさらなる軽量・低コスト化、高性能化に取り組んでいく。

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