デュポンのバイオ樹脂が自動車分野を中心に採用を拡大している。カーボンニュートラルといった環境性能に頼らず素材としての機能・性能で用途開拓を推進するという方針のもと、着実に実績を伸ばしているもので、製品に対する市場評価も「5年前に比べてだいぶ変わってきた」(同社)。今年1月には世界的な産業用酵素・機能性食品素材メーカーのダニスコ社買収によりセルロース系原料の開発に必要な酵素技術を取得し、原料多様化に向けた取り組みを強化。同社ではさらなる普及に向けて開発および用途開拓を加速させていく。
同社は保有する技術・事業をベースに10年以上にわたって工業用バイオ事業の育成に取り組んでおり、バイオサイエンス関連の開発投資のうち「約50%を継続して(同分野に)投じている」(同)。バイオ樹脂については原料ソースの分散化とそれによるコスト面を含めた安定供給体制の強化を主に開発を推進。石油ではコスト的に商業化が困難な素材を「バイオ技術を活用して安くつくる」(同)ことも視野に取り組みを積極化させている。
現在、ひまし油を主原料とするザイテルRS、独自技術によるバイオ?PDO(1・3プロパンジオール)とテレフタル酸を合成したソロナEPやバイオマックスPTT、100%植物由来のポリウレタン原料(Cerenol)にテレフタル酸と1・4ブタンジオールを合成したエラストマー・ハイトレルRSといった植物由来樹脂を製品化。そのコストパフォーマンスから汎用エンプラの用途分野をターゲットに採用拡大に取り組んでいる。
これまでの実績をみると、品質性能やコストに厳しい自動車用途を中心に採用を伸ばしているのが特徴。ナイロン樹脂代替としてザイテルRSを採用した樹脂製ラジエータタンクでは融雪塩に含まれる塩化カルシウムへの耐性を従来製品の7倍以上に向上したほか、トヨタ自動車のプリウスαの内装材にインパネ構成部品としての高い意匠性を有するソロナEPがポリブチレンテレフタレート(PBT)代替として採用されるなど性能面の評価が採用につながっている。
用途開拓の進展を背景に、同社では今後の需要増に対応するため米国テネシー州にあるBio?PDOの増強投資を実施し、能力を年4万5000トンから6万トン強へ拡大。また、ダニスコ社の酵素技術を活用してセルロースをひまし油、糖類(穀粒)に次ぐ第3の植物系原料として実用化する計画であり、こうした取り組みにより「5年後にはさらに製品群が増えている」(同)という。とくに生産量の拡大や低コスト製法の開発・実用化により、将来的に生産コストの低下が見込まれることから「(汎用的な領域へ)適用範囲が広がっていく」(同)とみる。

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