旭化成せんいは、ポリケトン樹脂を使用した多孔膜を開発した。ナノサイズで制御された微多孔構造とポリケトン独自の特性により、機能性フィルターやセパレーター材料、細胞培養基材、再生医療母材などの用途展開を図る。同社は数年前からセルロース系の微粒子や多孔膜を新事業として展開しているが、セルロース系よりも耐薬品特性に優れ、細胞に対する毒性も低いポリケトン製品を投入することで、展開の幅を広げ、事業化への道筋を強めていく。すでにサンプルワークを開始しており、一部用途で検討が進み始めている。
同社が開発したポリケトン多孔膜は、100ナノメートル程度の細い繊維径と80%もの高空隙率をもちながら、20-150マイクロメートルの範囲内で均一な厚みをもった膜構造を製造できる。吸湿率が0・5重量%未満と低く、酸やアルカリに強い。ポリケトンがもつカルボニル基を介して種々の改質も可能。融点は240度Cあり、耐熱性が求められる用途にも適用できる。リチウムイオン電池(LiB)のセパレーターには一般的にポリオレフィンが使用されるが、ポリケトンの耐熱性を生かしてこの用途への販売にも期待をかけている。
また、競合素材ととらえるフッ素系材料に対しては、帯電しにくいため静電気による粒子の凝集が起こりにくく、目詰まりを起こしにくいことが特徴。
膜に付与する孔構造は、対象、非対称を自由に設計できるほか、延伸膜としたり、自社の特殊ポリエステル不織布を支持体として強度を向上した複合膜とすることも可能。中空糸膜として提供することもできる。
同社は以前、ポリケトンをスーパー繊維としてタイヤコード向けに展開を図ったが、紡糸工程での技術的課題をクリアできず、昨年には同事業の推進室も解散した経緯がある。しかし、樹脂の製造技術は確立しており、延岡工場(宮崎県)に年産20トン規模のパイロットプラントも有しているため、この有効活用の手段を探っていた。ポリケトンはエチレンと一酸化炭素を原料とするポリマーで、量産化すればコスト競争力にも優れるとされる。

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