住友化学は、自動車部品や家電部品などで金属代替を狙う有機繊維強化ポリプロピレン(PP)について、2011年度内に千葉工場でベンチスケールでの生産に移行し、サンプル供給を開始する方針だ。サンプル品により需要家ニーズを取り込み、早期の本格採用につなげていく。有機繊維強化PPは、繊維強化樹脂でありながら比重が1・0程度と極めて軽量。このため金属のほか、他の繊維強化樹脂からの代替でも大幅な軽量化を達成できる新材料として提案活動を強めていく考え。
住友化学が開発した有機繊維強化PPは、PPに細さ30マイクロメートルのポリエチレンナフタレート(PEN)繊維を均一に分散させたもの。ガラス繊維強化PPと比較し、30%程度の軽量化を実現しており、繊維の混合比率によっては比重を1・0以下にすることもできる。また射出成形機で成形できる良好な加工性や、ガラス繊維強化PPをしのぐ耐衝撃性を併せ持つ。
開発のポイントは、適切な処理剤を加えることでPPとPEN繊維の相溶性を高めたこと。これにより長繊維比率の引き上げや均一な分散状態を達成し、大幅な軽量化、高い耐衝撃性の付与といった優れた特性の付与に成功した。
現在、ラボスケールでの生産を行っているが、量産技術を確立したうえで11年度中にベンチスケールの生産に移行し、サンプル供給できる体制を整える。生産設備は、すでに最大月産100トンのテスト機を完成しており、同設備で対応する。
有機繊維強化PPは、構造部材以外の自動車金属部品の代替を狙っており、最終的にはドア材などを含め、自動車1台当たり数十キログラムの採用を目指している。また家電製品など自動車以外の分野も開拓していく。
同社は自動車向けPP系材料で、有機繊維強化PPのほか、超臨界発泡技術で最大3倍までの発泡を可能にしたシート「スミセラー」、トヨタ自動車と共同開発した世界初のポリ乳酸/PPアロイ樹脂など、次世代の新材料開発を積極的に推進している。これらに続き電気自動車(EV)の電池周辺部品に適した新材料などの開発も加速し、同事業の拡大を図っていく方針。

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