熊本大学など産学官で構成する研究開発チームは、高耐熱マグネシウム合金の実用化開発を推進する。同マグネ合金は、レアアース添加により室温で超々ジュラルミンを、高温で耐熱アルミニウム合金を上回る機械的特性を実現している。それを生かし、これまで不可能であったエンジン部品といった自動車関連分野などでの採用を目指す。すでに177ミリメートルの鋳造ビレットおよび直径55ミリメートルの押出丸棒材の製造法を確立、製造技術の企業移管を進めることでマグネシウムの用途分野拡大に取り組む。
次世代耐熱マグネシウム合金の開発プロジェクトは、熊本大学や九州大学など9大学をはじめ日産自動車、神戸製鋼所、アーレスティなど13企業および熊本県産業技術センターが参画。科学技術振興機構(JST)の支援のもと、地域結集型研究開発プログラムとして11年までの5カ年計画として材料設計開発と製造基板技術開発をテーマに研究が進められている。
開発合金はマグネシウム、亜鉛およびレアアースを合金成分としており、長周期積層構造という新たな原子配列構造を有している。直径9ミリメートルの試験片による特性評価では、室温で既存マグネ合金の2倍以上、超々ジュラルミンに対して30%超の比降伏強度を実現しているほか、250度Cの環境下で耐熱アルミ合金を上回る250メガパスカルの降伏強度を有していることを確認済み。
すでに同大学構内の研究施設で直径69ミリメートルと177ミリメートルの鋳造ビレットや22ミリメートルおよび55ミリメートルの押出丸棒材の製造法を確立。耐食性向上を目的としたレーザー照射による表面皮膜の形成技術や品質保証システムなど要素技術も開発しており、ピストンやエンジンブロック、ATトランスミッションといった自動車用耐熱部品でアルミ合金からの転換を見込んでいる。
同開発チームでは、長周期積層構造が耐熱性向上の主要因とみており、今後はメカニズムの解明を進めることで、ノンレアアース化を目指す。

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