JSPが、プラスチック材料間の軽量化競争のステージを飛び出し、ついに「金属代替」の領域に足を踏み入れた。同社のバイオマスポリマー(バイオプラ)発泡体を芯材に適用し、同じくバイオプラによる繊維強化樹脂(FRP)の外板と組み合わせたハイブリッド材料を開発、今年7月に横浜で開催された電気自動車(EV)開発技術展に出展し、関係者の注目を集めた。倉成博己高機能材事業部長は「(難易度の高い)ドアができれば、他の部品は大体作ることができる。フェンダー、天井、ボンネットフードなど、金属代替を視野に入れた開発を加速していく」と語る。
JSPが出展したドアは、日本ユピカと共同開発したもの。JSPが開発した発泡バイオプラのコア材と、日本ユピカのバイオマス不飽和ポリエステル樹脂によるFRPとのハイブリッド材料で作った。ライトRTMと呼ばれる製造方法を採用し、「シートモールディングコンパウンド(SMC)など、従来のFRPの課題だった製造コストやタクトタイムの問題を大幅に改善できるめどを得た」という。
このドアを採用すれば、自動車1台当たり約30キログラム(ドア4枚の場合)の軽量化を実現、EV時代に突入した自動車の走行距離アップに大きく貢献できる。「発泡体の専門メーカーとして、軽量化は真っ先に提案すべき機能。発泡材料をコア材に使用することで、断熱性、吸音性、衝撃吸収性も付与できる。さらに今回、バイオプラを素材に採用し、環境へ配慮する機能を高めた」。
バイオプラ発泡体をハイブリッド材料に適用したのは、「生分解性をテーマにバイオプラ発泡体の開発と量産を手掛けるなかで、FRPとの高い密着性という他の汎用樹脂にない機能を持っていることを見いだした」ため。
プラスチックは成形後、温度が下がるにつれ収縮する。ハイブリッド化した場合、密着強度が弱いと樹脂の収縮の影響から表面にヒケなどが生じ、外観を損なう。通常の発泡樹脂をFRPと組み合わせようとすると、密着強度を高めるための下処理や、耐溶剤性を補う処置などが必要になる。今回採用したバイオポリマーは、「そのままでも十分な密着強度が得られることがわかった」。
自動車メーカーは、かつて外板パネルやドアなどを鋼板からFRPに置き換える開発に取り組んだが、タクトタイムの長さや金型コストなどを理由に断念してきた経緯がある。しかし、今回採用したライトRTM製法は、「液状樹脂を型に流し込む成形方法で、金型コストを大幅に低減できるほか、樹脂の充填機などを含めたシステムコストも1セット1000万円以下に抑えられる」。
このため、数十ロット単位という小ロット多品種生産でも金型コストを吸収できるほか、セル生産の台数を増やすことで大ロット生産時のタクトタイムも短縮できるという。EV時代に突入し、金属を代替する軽量化材料の開発が期待されるなか、JSPは発泡技術を武器に、プラスアルファの機能を付与したハイブリッド材料で需要家ニーズに応えていく考えだ。

コメントする