JFEスチールは、引っ張り強さ1300メガパスカルを実現したニッケルフリー粉末冶金用合金粉を開発した。新製品「FM1300」は、焼き入れ性の高いモリブデンの合金組成および合金化方法を最適化することで、高強度化と切削性を高いレベルで両立することに成功したもの。すでに商品化している600メガパスカルおよび1000メガパスカル級製品と合わせ、自動車のエンジン・駆動系部品におけるニッケルフリー合金粉の適応拡大を推進する。同社では、小型・軽量化ニーズの高まりを背景に2014年を目標にFMシリーズの生産量を現在比10倍の月間300トンレベルに拡大していく。
自動車などに使われる高強度な鉄系焼結部品では、強度を向上するために合金元素としてニッケルを含む合金粉が多く採用されている。同合金粉は強度特性を有するものの、焼結時の拡散不足により強度が異なる組織が混在するため、切削性が低下するという問題があった。またニッケル価格の変動や安定調達も採用するうえでの大きな課題となっている。
JFEスチールは、07年にニッケルフリー粉末冶金用合金粉のFMシリーズを事業化。現在、焼結後未処理状態で600メガパスカル以上の引っ張り強さを発現する「同600」と、焼結・熱処理後に1000メガパスカル以上の引っ張り強さを発現する「同1000」を販売しており、同600はミッション部品などの自動車用焼結部品に採用されている。
同1300は、FMシリーズの新ラインアップとして開発したもの。同鉄粉は、低モリブデン系合金粉の粒子表面に再度モリブデンを偏在させたまだら構造をしており、1250度Cの高温焼結を行った焼結体はニッケル系合金鉄粉に比べて良好な切削性を有する。また浸炭・焼き入れ・焼き戻ししたものは1300メガパスカル以上の引っ張り強度を発揮する。
FMシリーズについては、今年度中にさらなるラインアップの拡充を図る予定。主力用途である国内自動車生産の中長期的な成長が見込めないなか、同社では素材特性の向上により、適用部品の拡大を図ることで同事業の成長性を確保していく。

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