トヨタ紡織は、次世代自動車シートの採用に向けた取り組みを本格化する。新開発の「スリムスタイルシート」は、独自のネット素材によりシートバック部分のウレタンパッドとスプリングを省き中空構造としたもの。フロントシート単体で同社従来品に比べて10%(約2キログラム)の軽量化を実現するとともに、形状のスリム化により後席ひざ前空間を30ミリメートル拡大することが可能。通気性の良さから空調負荷低減による省燃費効果もあり、コンパクトカーや次世代環境車での採用を見込む。同社では積極的な提案活動により、他社に先駆けて実車搭載を目指す。
スリムスタイルシートは、トヨタ紡織の紡織技術をベースに開発したもの。要であるネット素材は、伸長弾性率が100%近い新開発の特殊モノフィラメント糸を使って織地を作成し、これに耐熱性を有するポリエステル系繊維をモール糸として編み込むことで地厚感を表現。先染めにより多様な色に対応できるほか、インクジェットプリントを可能とするなど優れた意匠性も兼ね備えている。
同ネット素材を表皮材として採用することで、シートバックのウレタンパッドおよびコイルスプリングを省略するとともに、座面のウレタンパッドを薄肉化した。プリウスに搭載されている同社既存品(TB?NF110)との比較では、フロントシート単体で10%の軽量化と省スペース化を実現している。
ネット素材の採用は接触面積の拡大による乗員のサポート性向上や、高周波帯域の振動伝達率低減による乗り心地改善といったプラス効果をもたらしている。また通気性の向上により、夏は涼しく冬は暖気をすぐに体感できるため空調負荷の低減が可能。夏場を想定した評価試験では、従来シートに対して設定温度を3度C改善する効果や、従来比5分の1の短時間で涼しさを体感できることを確認している。
同社では、軽量・スリムかつ省燃費効果を有することから、車内スペースの確保や省燃費ニーズの高い1000?1500ccのコンパクトカーをはじめ、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、電気自動車といった次世代環境車での採用を見込む。
今後、リアシートを含めたシートセット(車両1台分)で20%の軽量化を目指すほか、ドアトリムや天井など新型シートにマッチした車内全体のコーディネーションへ取り組みを広げていく。また数年後をめどに、ネット素材の改良によってシートクッションの中空化を実現することにより、他社との差別化を推進する考え。

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