帝人は、高熱伝導性炭素繊維フィラー「ラヒーマ」の早期事業化を目指す。発光ダイオード(LED)照明部材に採用されたのを機に、同分野での用途開拓を本格化する。また、熱対策が緊急の課題となっている電子機器用途に加えて、電気自動車(EV)など自動車用途の開拓も視野に入れていく。今後2、3年内に年間約50トンのパイロットプラントをフル稼働させ、同500トン以上の量産プラント設置につなげていく。
近年、ノートパソコンやデジタル機器の高機能・高密度実装化にともない、中央演算装置(CPU)など発熱源から発する熱量が増大しており、電子機器の発熱対策が深刻化している。
帝人が開発したラヒーマは、繊維状にした直径8マイクロメートル程度の黒鉛を、長さ数10マイクロメートル程度に切断した筒状の短繊維で、銀や銅を上回る高い熱伝導率を有している。樹脂材料への分散性に優れるため、自由な形状で効率的な放熱設計が可能なうえ、熱膨張率がセラミックス並みに低いことから、成形体の寸法安定性にも優れている。
平均繊維長50マイクロメートル以下の「R?A201」と同200マイクロメートル以下の「R?A301」の2つの標準グレードのほか、同30マイクロメートルの特殊グレードをラインアップし、樹脂コンパウンド、成形シート、グリース、接着剤などの幅広い用途に利用ができる。
需要拡大を見込んでいるのがLED分野。LED照明は、光に変換されるエネルギー以外は熱として放出されるため、高い熱伝導率を持つ材料が求められている。
このほど、放熱のためのヒートシンク材料として、各種照明器具の販売を手掛ける稲葉電機(埼玉県幸手市)のLED電球に採用された。さらに大手照明メーカー数社からの引き合いが活発化しているといい、ヒートシンク以外の放熱シートや接着剤用途にも採用を働きかけていく。
このほか、アルミなど金属代替を目的に、電子機器分野での用途拡大を狙う。また、モーター周辺部品の熱対策が必要となるEVなど自動車分野での用途開拓も視野に入れていく。
2、3年内に、先端技術開発センター(山口県岩国市)内の年間50トンのパイロット設備をフル稼働させる方針。さらに、同500トン以上の量産プラントを設置、早期事業化につなげる。

コメントする