産業技術総合研究所(産総研)は、高速反応焼結法と、それを応用した緻密質窒化ケイ素セラミックスの作製技術を開発した。二酸化ジルコニウム(ジルコニア)を添加することにより、窒化ケイ素粉末に比べて割安なケイ素原料を使用しながら、窒素雰囲気下で高速に反応焼結できる。従来法に比べ、反応焼結時の昇温速度を最高で80倍に高められるため、生産コストの大幅な低減につなげられる。また、高速反応によって得られた反応焼結体を二段焼結によって緻密化した場合、従来製法による窒化ケイ素セラミックスと同様の強度を実現できる。
窒化ケイ素は、非酸化物系セラミックスで、セラミックスの中では機械的物性に優れるという特徴をもつ。ただ、従来の窒化ケイ素原料を使用した方法では、原料が高く、部材としても高価だった。一方、反応焼結法では、ケイ素を原料に使用できるが、焼結に時間がかかり、部材の低価格化に反映されなかった。産総研では高速反応焼結法と二段焼結を組み合わせることで、ケイ素原料を用いても、窒化ケイ素原料を用いるのと同様に焼結可能にすることでコスト低減を図った。一部の開発はクボタと共同で行った。反応焼結法とは、窒素雰囲気下においてケイ素を窒化、多孔質の焼結体を得る手法。同法で得られる焼結体はほぼ無収縮のため、ニアネットシェイプ成形(最終製品に近い形状を得る成形法)に適するとともに、安価なケイ素が使用できる。
産総研では、プロセス時間短縮のため、ジルコニアに着目。通常の反応焼結の場合、窒化の最適温度は1400度C前後だが、急激に昇温すると、窒化による発熱で未窒化のケイ素が溶融、物性が劣化するため、1分当たり0・15度Cでしか昇温できなかった。しかし、ジルコニアの添加により、同12・5度Cで昇温しても窒化が完了することを確認。適正温度までの昇温速度を最高で80倍に高めることに成功した。また、従来、二段焼結して得られた窒化ケイ素セラミックスは、内部の残留ケイ素が破壊源となって強度が低下する傾向がみられたが、同法で得られたセラミックス(二段焼結の焼結用試料にはマグネシアスピネルも添加)は従来品と同等の物性が得られた。産総研では、アルミニウム鋳造部品などの大型部材を中心として、部材化技術の確立に取り組んでいく。

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