住友ベークライトは、長繊維強化熱硬化性樹脂コンパウンドで、国内自動車メーカーに攻勢をかける。炭素繊維プリプレグを使用した材料に比べて低コストでありながら、チョップドファイバーを使用したものよりも衝撃強度などの各種物性が格段に優れることをアピールし、軽量化による金属代替部材として売り込む。昨春、本格稼働した静岡工場の設備を活用しながら、同社の他材料との組み合わせによる提案力の強化にも努めており、2011年中には国内初の採用事例につなげる考え。同社はこれを契機に、国内外で事業の急拡大を目指していく考えで、将来的には同社の成形材料事業の柱のひとつに育成する方針。
同材料は、07年に買収したスイスのネオプレグ社が開発したもの。世界でも唯一の射出成形可能な長繊維強化による熱硬化性樹脂コンパウンドとして、欧州では鉄道車両部材をはじめ、宇宙用途や産業機器などに実績を有している。耐衝撃強度は1ミリメートル以下のチョップドファイバーを配合した繊維強化熱硬化性樹脂の10?20倍にもおよび、熱硬化性樹脂を用いるため耐熱性も高い。コンプレッション成形はもちろん、射出成形も可能で、複雑な3次元形状でも自由に設計できることも特徴。住友ベークライトの買収以降、同社のマーケティング力や技術力を組み合わせて欧米での事業拡大に拍車をかけている。08年秋には静岡工場にも量産設備を導入、09年春から本格稼働して、日系メーカーへもギア類など各種部材向けに提案を強めている。
3?50ミリメートルの繊維と熱硬化性樹脂を独自の技術により複合している。強化繊維としてはポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維やパラ系アラミド繊維、ガラス繊維などを使用でき、マトリックスとしてはフェノール樹脂やエポキシ樹脂、一部高耐熱性を求める用途にはビスマレイミド樹脂もラインアップする。現在、採用への期待が高いのは、コスト競争力に優れたガラス長繊維強化フェノール樹脂成形材料。今後は一層の強度向上や射出成形時により効果的に物性を発現できるグレードの開発を進め、自動車や航空機関連部材への採用拡大に取り組んでいく。

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