イスマンジェイ(本社・川崎市、渡邊敏幸社長)は、シリコン合金とセラミックスの両方の特性を併せ持つβ?サイアロン「メラミックス」の本格事業展開に乗り出す。このほどベアリングボール用途で海外メーカーを含む複数の顧客に採用が決まり、7月の出荷に向け、量産を開始した。メラミックスにとって初の採用事例となる。販売額は2億円以上となるもよう。新たな構造材料であるメラミックスの採用実績ができたことで、いよいよ本格拡大を見込めるステージに入った。同社は自動車部材向けにも攻勢をかけていく考えで、今後の出荷増を見越して新たな土地取得についての検討も開始した。
今回採用されたのは、直径が4ミリメートルと5センチメートルの球状タイプ。4ミリメートルのベアリングボールは、一般的にゴールデンサイズと呼ばれ、さまざまな産業機器の電動モーターに使用されるもので、同社も複数の顧客に採用された。また5センチメートル品は風力発電向けが中心で、主に海外の顧客に向け出荷を予定する。4ミリメートル品は1000万個、5センチメートル品は1万個を販売予定。4ミリメートル品の単価は11円。特殊鋼製の1?2円に比べると高いが、従来のセラミックス製の30?40円よりは相当安価になる。しかも、耐摩耗性、軽量性(比重3・2)、電気絶縁性、防錆性などの特徴に加え、地球上に大量に存在するケイ石を主原料としレアメタルを使わないことや、製造時にCO2をほとんど排出せず環境低負荷なことも評価された。
現在の生産能力は年産400トン。今後は、特殊鋼代替として、自動車の大型構造材も含めた用途開拓を進めていく考えで、数年以内に1万2000トン規模に能力を引き上げる。そのために、現有工場近接地に土地を取得し、新工場を建設することについても検討を開始した。
メラミックスはシリコン、アルミニウム、窒素、酸素の4種の原子からなるシリコン合金?セラミックス構造材料。β?サイアロンの理論は以前から知られていたが、同社が初めて量産技術を確立した。構成の50%を占めるシリコンの金属結合がベースとなり、その間を窒素原子などが自由に移動できることから、セラミックスでありながら、金属の特性を併せ持つ。

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