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「健康経営」 増やせ!イキイキ社員 《6》 格付で問題点を見える化
※企業価値も高まる
財務情報だけでなく、非財務情報を取り込むことで企業価値の評価度を上げる。評価認証型融資を展開する日本政策投資銀行(DBJ)は、人的生産性やリスク管理能力を評価基準とする健康経営格付を進めている。2015年の融資件数は30件で急速な伸びを示しており、環境、BCM(事業継続)格付とともにDBJ評価認証型融資の柱に育ちつつある。化学では花王、三井化学、日本化薬など数社が健康経営格付を獲得している。
DBJは04年から財務諸表では読み取れない企業価値を評価する認証融資制度を導入し、環境、BCMなどの格付による融資を展開している。認証融資を受ける企業にとっては、格付に応じた金利優遇を受けられる、第三者評価を通じた現状と問題点の見える化や相対化に加え、ステークホルダーへのアピールとなることから、認証を受ける企業が増えてきている。環境格付を筆頭とした評価認証型融資は、15年末時点で累計770件、融資額1兆1000億円を上回っている。第3の柱として力を入れているのが健康経営格付だ。
健康経営は「リスクマネジメント、企業健保の財政・収支改善の両面で必要」(川崎哲史・環境・CSR部次長)との考えに基づき、07年度から経済産業省とグランドデザインの研究に着手。経団連、厚生労働省など官民との連携を踏まえ、ヘルスケア・コミッティー、東京大学政策ビジョン研究センターと三位一体で評価・融資依頼のあった顧客に評価・融資実行する。
評価は健康管理、健康経営運営、健康経営実施事項の3つの点を100以上の設問で実施する。健康管理では労務管理やストレスチェック、健康経営の運営では従業員の健康に関する状況や特性の分析・把握、健康配慮に関する目標・計画の設定、健康経営に取り組むマネジメント体制の構築などが問われる。
設問に対して60%以上の得点を獲得した企業はA、45%以上60%未満はB、30%以上45%未満はCのランクとなる。この3つが健康経営格付融資の対象となり、Aは特別金利II(最優遇)、Bは同I、Cは一般金利が適用される。融資後にDBJ健康経営格付のロゴが入った認定証および評価点や講評が記述された結果通知書が送付され、当該企業はプレスリリースなどの開示資料や名刺、各種サイネージなどにロゴを使用できる仕組みとなっている。
※化学産業へ広がる
特徴は「小売り、保育関連など人材の確保が重要課題となっている企業が、採用や従業員のロイヤルティ向上のために利用するケースが多い」(同)こと。化学産業は「もともと環境格付のヘビーユーザー」(同)で融資件数、金額ともに群を抜くが「今後、リクルーティングを含む人材確保の観点から健康経営格付にも目を向けていただきたい」同)。
11年に花王、12年に三井化学がそれぞれ格付を取得、13年には東燃ゼネラルグループが石油業界初の格付取得企業となった。また15年度に入って日本化薬、オルガノが取得するなど、化学業界へ広がり始めている。
健康経営格付を取得できる企業は、どういう要素を有しているのか。一つはトップダウン。健康宣言などトップが先頭に立ち、明確な指針を示すことで「本気度が伝わり、従業員に分かりやすいものとなる」(同)。専門家、専門職の活用も重要な要素だ。産業医や保健士などを雇用するに加えて、専門機関や健診機関など外部機関の活用が重要だ。
「事業主と健保組合の連携が強いほど、医療費が低額である傾向」(同)にある。「三井化学のように、医療の専門家がラインマネジャーとなって健康に関する権限を発揮する部署を持つ」(同)。健康に関するテーマは部署によってバラバラになりがちだが、それを統括的視点で進めていく組織・人の存在も必須だ。