2016年3月の記事を読む
2016年2月の記事を読む
2016年1月の記事を読む
2015年12月の記事を読む
2015年11月の記事を読む
2015年10月の記事を読む
2015年9月の記事を読む
2015年8月の記事を読む
2015年7月の記事を読む
2015年6月の記事を読む
2015年5月の記事を読む
2015年4月の記事を読む
2015年3月の記事を読む
2015年2月の記事を読む
2015年1月の記事を読む
2014年12月の記事を読む
2014年11月の記事を読む
2014年10月の記事を読む
2014年9月の記事を読む
2014年8月の記事を読む
2014年7月の記事を読む
2014年6月の記事を読む
2014年5月の記事を読む
2014年4月の記事を読む
2014年3月の記事を読む
2014年2月の記事を読む
2014年1月の記事を読む
2013年12月の記事を読む
2013年11月の記事を読む
2013年10月の記事を読む
2013年9月の記事を読む
2013年8月の記事を読む
2013年7月の記事を読む
2013年6月の記事を読む
2013年5月の記事を読む
2013年4月の記事を読む
2013年3月の記事を読む
2013年2月の記事を読む
2013年1月の記事を読む
2012年12月の記事を読む
2012年11月の記事を読む
2012年10月の記事を読む
2012年9月の記事を読む
2012年8月の記事を読む
2012年7月の記事を読む
2012年6月の記事を読む
2012年5月の記事を読む
2012年4月の記事を読む
2012年3月の記事を読む
2012年2月の記事を読む
2012年1月の記事を読む
2011年12月の記事を読む
2011年11月の記事を読む
2011年10月の記事を読む
2011年9月の記事を読む
2011年8月の記事を読む
2011年7月の記事を読む
2011年6月の記事を読む
2011年5月の記事を読む
2011年4月の記事を読む
2011年3月の記事を読む
2011年2月の記事を読む
2011年1月の記事を読む
2010年12月の記事を読む
動き始めた腸内細菌の創薬への応用
人の腸には約1000種類、約100兆個以上の細菌(腸内細菌)が住み着いている。これらが絶妙なバランスで共生している状態を腸内フローラ(腸内細菌叢)と呼ぶ。腸内細菌が持つ遺伝子の数は約50万個。その遺伝子の働きが人体に、さまざまな影響を与えている。
次世代シーケンサーを用いた最近の研究により、腸内フローラを構成する菌種のバランスが崩れると、炎症性腸疾患(IBD)、喘息、肥満、大腸がん、肝硬変など多様な疾患が引き起こされることが分かってきた。そこで欧米を中心に、菌そのもの、あるいは低分子化合物などを投与して、腸内フローラの構成を変化させ、疾患を治療するという試みが始まっている。
最初に腸内フローラの構成を変える方法として実施されたのが糞便移植(FMT)だ。健康な人の便と生理食塩水を混ぜて液体化し、患者の腸内に注入するもので、正常な細菌によって腸内細菌全体のバランスを回復させる。潰瘍性大腸炎などに効果を上げている。
FMTは有効な治療法として期待されているものの、便自体を移植するので患者の抵抗感が強い。また実際、どのような菌が含まれているかが把握できない。このため安全性に懸念があり、医薬品としての治験が進んでいない。そこで健康な人の便に含まれる菌を単離し、活性が認められる菌のみカクテル化して投与する「腸内細菌由来治療薬」が注目を集めている。
慶応大学医学部の本田賢也教授は、免疫反応を抑制する働きのある制御性T細胞を誘導するヒト腸内細菌の同定に世界で初めて成功した。人の便から単離した17種類のクロストリジウム菌で、マウスに投与すると腸炎や下痢を抑えた。
17菌種の特許は2011年に米国のバイオベンチャー、べダンタ・バイオサイエンシズに導出され、IBD治療薬候補「VE202」として開発が進められている。昨年1月には米ヤンセン・バイオテックがVE202の開発・販売権を総額2億4100万ドルで取得した。今年中にも第1相臨床試験が実施される予定だ。単離された腸内細菌を用いた臨床試験は世界で初めてとみられる。
日本のアカデミア発となる大型シーズが海外企業の手に渡ったのは残念だ。ただ、ここに来て国内製薬企業も、腸内細菌由来治療薬に注目し始めている。今年1月には、武田薬品工業が仏ベンチャーのエンテローム・バイオサイエンスと、腸内細菌を標的とした消化器疾患治療薬の共同開発契約を結んだ。腸内細菌由来治療薬という新ジャンルの創出を期待したい。