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モノづくり デジタル化の奔流 《1》 下剋上の時代到来
▲ トヨタが昨秋行った首都高での自動運転デモ走行。AIや機械学習は運転に止まらず、部材の開発・製造にも活用が進む。
日本が強みとする部品・材料分野で危機意識が高まっている。セットメーカーとの密接な関係を基にした「擦り合わせ」や、10年、20年単位の地道な研究開発活動は、同分野で製品差別化の根源になっていた。それがデジタル化というパラダイムシフトの前に危うくなりそうだ。発端はオバマ米大統領の製造業テコ入れ戦略。自国内への生産回帰と併行して、弱点とされた先端素材開発力を補うため、情報通信技術(ICT)を駆使した画期的なモノづくり技術を開発した。これに欧州と中国が呼応。とくに中国は、資金力にものを言わせて日本との格差を一気に縮めようと躍起だ。日本では、経済産業省が対策を講じようと戦略をまとめたが、まだ予算化されていない。世界最強の技術といえども一夜にして陳腐化するのがデジタルの世界。人工知能(AI)と機械学習というICTが成否のカギを握る。
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多様な工業部材のなかでも、シリコンウエハーをはじめとする電子部材の市場は日本が世界の大半を占める。その高い競争力を持つ素材の業界団体、新金属協会(会長・轟正彦信越化学工業常務取締役)が先月、創立60周年の記念式典を開いた。和やかな祝賀ムードのなか、講演に立った東京工業大学フロンティア研究機構の細野秀雄教授は「日本の材料学会は壊滅的。中国に抜かれる可能性もある」と衝撃的な見解を述べた。
指摘の背景にあるのは米国のマテリアルゲノム(MG)戦略。新素材は発見から事業化まで20―30年かかるが、この期間を数分の一に短縮することで日本の牙城を切り崩そうとしている。「透明かつ高い伝導性」など最初に求める機能を目標に設定し、その条件を満足する候補材料を膨大なデータから検索。そして実際に合成するという分かりやすいプロセスだ。熟練技術者の知見や経験には頼らない。発展途上の技術だが、画期的な新材料が生まれる可能性が高い。
米国の戦略に注目し、すぐさま同様の研究開発に動いたのが欧州と中国。日本と比べて先端材料開発のリソースが乏しい中国だが、一気に競争力を身に付ける可能性がある。細野教授のグループも、この手法を使って窒化物半導体の合成に成功しており「材料開発は新たなフェーズに入った。下克上が始まる」と予見する。
こうした動きに対して経産省は昨年「情報科学と材料科学を融合した材料設計手法『マテリアルズ・インフォマティクス』(MI)が必要」とする金属素材産業の競争力強化計画をまとめた。ただ始動はこれからだ。
MGもMIも、ベースになるのは機械学習。自動運転や音声認識に使われるのと基本的に同じものだ。AIとともに20年以上前から注目されていたが、検索性能や予測性能が不足し、普及に至らなかった。事情が変わったのは数年前。深層学習(ディープラーニング)という新技術が現れてからだ。
交通標識や行き交う車両、ネジやプリント配線板の認識によって自動運転やロボットの精密制御が可能になる。米グーグルやトヨタ自動車、ファナックなどが一斉に導入し始めた。トヨタは、米国防高等研究計画局でロボット関連プロジェクトを指揮してきたギル・プラット氏を最高経営責任者に迎えてAIの研究施設「トヨタ リサーチ・インスティチュート」(TRI)の運用を始めた。「自動車分野に絞った話ではない。走る・曲がる・止まるの次は『つながる』。広くAIの活用を考えている」(豊田章男社長)。
あらゆる分野に応用が考えられる深層学習の導入は緒に就いたばかり。少子高齢化、労働力不足、コスト高が課題となっている日本のモノづくりに欠かせない技術といえる。
(つづく)