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2016年03月10日 前へ 前へ次へ 次へ

「戦う土俵」の再設定進める化学企業

 日本の化学企業が「戦う土俵」の再設定を進めている。製品の差異化が難しい分野、あるいは収益の変動が激しい分野を縮小する一方、技術で勝負できる分野を拡大しようというものだ。化学企業はここ数年、円高修正や原油価格の急落などを背景に業績を回復させてきた。しかし経営環境は目まぐるしい変化を続けている。競争優位な分野をいかに見出し、確保し続けていくのかが試される。
 住友化学の十倉雅和社長は、2016年度から始まる新たな中期経営計画の発表の際に「強み・優位性のある分野に経営資源を集中投下する」と述べ、環境・エネルギー、情報通信技術(ICT)、ライフサイエンスの各領域を中心に、戦う土俵を再設定する考えを示した。
 日本の製造業は今世紀に入って、そもそも世界の競合企業と同じ土俵で戦うことが困難な環境を強いられてきた。円高、原油高、高い法人税といった、いわゆる「六重苦」がのしかかっていたためだ。
 しかし12年12月の第2次安倍内閣の発足以降、六重苦のうち円高や原油高などの改善が進み、国内工場の国際競争力は大きく向上した。日本の製造業の収益レベルは13年から回復傾向を見せ始め、15年度業績では08年のリーマンショック前の最高水準に達する企業が目立っている。
 ところが、この間に進んだ世界の構造変化が、化学企業に新たな試練を与えている。中国における素材産業の大幅な供給過剰、日系電機・家電メーカーの世界的な凋落、米国のシェール革命などが構造変化の代表的な事例だ。
 さらに日本企業は、社外取締役の増員といった企業統治制度改革を進め、投資家との対話を重視する姿勢を強めるなど、収益性や効率性を一段と重視した経営を志向している。
 こうしたなかで化学企業が勝てる分野に経営資源を集中し、持続的な成長を目指すのは当然の動きといえよう。各社が時代の先端を走る保有技術を武器に環境、食料、エネルギー、高齢化といった社会課題の解決に資するソリューション提供を標榜するのもうなずける。
 問題は、世の中の激しい変化が引き続き予想されるなかで、いかにして勝てる土俵、勝てる事業を見出し続けるかだ。IoT(モノのインターネット)の急激な普及などを背景に、モノで稼ぐ時代からシステムで稼ぐ時代へと変化することも予想される。勝つべくして勝つ戦略を構築するには、こうした将来の変化を見定める眼力、そして変化への対応力を持つことが、まず求められよう。


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