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2016年02月26日 前へ 前へ次へ 次へ

王子HD セルロースナノファイバー普及に挑む <下>

 ▲ 強度や柔軟性に優れる透明シートは、液晶画面の表面ガラスや偏光板を保護するフィルムなどへの応用を探る。


 パウダー状でCNFを供給できるのも王子HDの強みだ。「ハンドリングが悪い」「粉として扱いたい」「輸送コストがかさむ」―。CNF研究拠点の紙パルプ革新センターには、こんな要望が舞い込んでいた。パウダー状CNFは、こうしたニーズに応える。同社は、いち早く研究テーマに取り入れて技術開発に着手。パウダー状での利用を可能にしたのは世界で初めてという。

 CNFは水に分散した状態で高い粘性を持つことから、使い方の一つとして増粘剤が期待されている。増粘剤は紛体での供給が主流。一方でCNFはその製法上の制約から約98%が水で、CNF自体の比率は1―2%に過ぎない。

 親水性の高い繊維で単純に水分を取り除こうとすると、再びCNFの繊維同士が強く結合・凝集してしまう。このため、液体(スラリー状CNF)としてサンプル供給する必要があった。

 ただ極めて粘度の高い液体は取り扱いが難しいだけでなく、水を多く含むことから添加量が制限される。輸送においても大量の水を運ぶことになり、環境負荷やコストの面でも課題が残る。

 そこで王子HDは、ユーザーの声を踏まえて改良を重ね、使い勝手の良いCNFに仕立てた。濃度は従来の1―2%程度から20%超まで高まり、ウェットパウダー状での提供が可能になる。パウダー状のCNFについては、2015年10月からサンプル提供に入っている。

 事業化に向けた取り組みを前進させるため、他社との連携にも動く。15年には日光ケミカルズとCNFを使った化粧品原料の用途開発を共同で行うことに合意した。

 ベタつかず水をまとうようなみずみずしい感触が肌に伝わる利点を生かし、化粧品向けの増粘剤としてクリームや乳液などでの商品化を模索。キラキラした顔料を液中で均一に分散させる働きも前面に打ち出す戦略で、マスカラでも取引を訴えかける。

 化粧品以外での用途開発も見据えている。独自技術を武器に強度や柔軟性に優れる透明シートは、例えばスマートフォンやウエアラブル端末の液晶画面で表面ガラスや偏光板を保護するフィルムからの代替需要を見込む。将来は自動車メーカーにも軽くて強い部品が作れる用途を示して、売り先を広げる構想を描く。

 「もはや製紙企業ではない」との認識の下、事業の構造改革を進める王子HD。持続可能な成長を遂げるためには、CNFをはじめとする新規事業の育成が欠かせないとみる。背景には内需の縮小が避けられない製紙業界の事情がある。

 日本製紙連合会によると、15年の紙・板紙内需量は2686万トンの見込み。この10年間で16%ほど縮小した。情報媒体の電子化にともない、印刷・情報用紙などが大きく減っている。

 高品質なCNFの供給につながるリン酸エステル化法、顧客にとって扱いやすいパウダー状のCNF。いずれも実際にモノが流れ始めたときに大きな強みとなることは間違いない。王子HDが得意とする革新的な技術だけに、CNFの実用化は、そう遠くないうちに訪れそうだ。

(おわり)


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