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次なる消費行動に向かう訪日中国人
2月13日までの中国の旧正月(春節)が終わった。今年も日本各地で中国からの観光客・買い物ツアーの姿が目立った。東京・銀座など定番と言われる名所や観光コースは、とくに賑わいをみせた。また日用品の大手チェーンや家電量販店が、中国人ツアーの効果で軒並み過去最高の売上高・利益を記録したと伝えられている。メーカーも品薄となった日用品、化粧品などの増産に追われた。
昨年、日本を訪れた中国人旅行者は約500万人。今年は700万人弱と予測されている。単一国からの来日旅行者を比較すると、この数年間は中国が1位。また買い物や諸費用などインバウンド消費も来日外国人中トップの額で、昨年はわが国に1兆円以上の経済効果をもたらしたとされる。
中国の総人口から考えてみれば、700万人の訪日はスタートラインと言える。「まだ外国に行ったことのない層」が数億人単位で存在しており、わが国の流通業界や旅行業界は、さらに来訪者が増えることを期待しているだろう。
ただ単純な消費旅行は、いつかは終わりを迎える。昨年の本紙社説において、中国人の訪日行動に変化の兆しが出てきたことを記したが爆買いとは異なる目的で来日する中国人が確実に増加し始めた。比較的裕福な層にある上海の知人は「大手病院で泊まりの健康診断を受ける」ことをメーンイベントに日本を訪れた。日系企業に勤める中国人社員の会話を聞くと「日本で有機栽培、無農薬栽培の野菜や果物を食べたい。農業経験もしたい」と、楽しそうにプランを練っていた。
ある工業開発区の若手役人は「観光もそうだが、日本の工業地帯や省エネ設備、エネルギー再利用など産業の現場を、この機会に視察して勉強したい」と熱心だ。両国間の政治的環境が落ち着いている今、わが国の各業界も受け身の「客待ち姿勢」ではなく、来日中国人に多彩な価値が提供できるようイベントの充実を急ぐべきだ。
一般訪日客には医療や美容での滞在、より深い歴史・文化体験ができるツアーなどに人気が集まりつつある。ビジネス関連でも、生産現場の視察や相互交流などを企画すれば一定以上のニーズが見込めるだろう。中国は製造強国への転換を目指し、環境や省エネ・再生可能エネルギー技術を発展分野と位置付けている。わが国産業界は、来日中国人の増加を好機ととらえ、民間レベルの業界交流などに積極的に取り組んでほしい。「訪日=買い物」という単純思考のままなら、ブームは一過性に終わる。それでは惜しい。