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太陽電池で新たな市場を切り拓け
メガソーラーブームが一服した現在、日本の太陽電池メーカーが取るべき戦略は、分散型電源の普及拡大に尽きる。太陽光発電が装置産業になりつつあるなか、これまでのような収益確保が困難を極めるためだ。高効率化はもちろんのこと、建物や農場への設置など新たな市場領域の開拓こそが、生き残りのカギを握っている。
太陽電池モジュールの価格下落が止まらない。製造コストは再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が施行された2011年時点に比べ2―3割ほど低下した。現状の供給価格は1ワット当たり2.2ドル程度と見込まれるが「今後、年率10%の下落が予想される」(京セラの山口悟郎社長)。すでに「50セントで売り出す中国メーカーも存在する」(台湾のセルメーカー)ほどだ。
そこで国内の太陽電池メーカーは、家電や蓄電池などを組み合わせた付加価値の高い電力供給システムの提案を本格化させている。しかし外資系メーカーも同様の取り組みに乗り出そうとしており、その一歩先を行くことが求められる。
なかでも農業で太陽光発電を活用するソーラーシェアリング(営農型発電設備)は普及拡大の余地が大きい。地上から約3メートルの高さに太陽電池を設置するシステムで、農作などを続けながら発電を行うもの。電力は売電のほか、農作業のための電動工具などに使える。両面ガラスを採用したシリコン系モジュールを主に採用が始まっており、三菱化学や東レが開発を進めている有機薄膜太陽電池なら、ビニールハウスにも適用できる。エネルギー資源が乏しく、食糧自給率が低い日本にとって、農地での太陽電池活用は新たなビジネスモデルとなる可能性があるだろう。
また当然ながら太陽電池の普及拡大には変換効率の向上が欠かせない。「主流のp型シリコンでは限界値に近づいている」(国内メーカー)ことから、各社は新たな技術を駆使して研究開発に力を注いでいる。例えばシャープやカネカでは、ヘテロ接合技術を用いて世界最高レベルの変換効率を実現している。発電コストの低減にも直結することから、早期の実用化に期待が寄せられている。
古来から信仰の対象にもなっていた太陽が、ビジネスに活用できる時代が来ている。この自然エネルギーを空いた土地や屋根で利用するだけでは、それこそ「もったいない」だろう。建物や農地、さらには水上といった新領域への展開でソリューションを確立し、海外市場に打って出られるようなキラーコンテンツとして育ててほしい。