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2015年09月14日 前へ 前へ次へ 次へ

【特別対談】 小林喜光氏×橋本和仁氏 / 成長戦略と化学イノベーション 《1》

                   ▲橋本氏(左)、小林氏とも「日本は根本から変革が必要」と訴える。

 化学の領域において、産業界と学術界を代表する2人の対談が実現した。日本化学工業協会会長で、三菱ケミカルホールディングス会長の小林喜光氏と、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議議員でもある東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻教授の橋本和仁氏だ。ともに内閣官房経済再生本部・産業競争力会議議員を務め、安倍政権のブレーンとしても活躍中だ。対談のテーマは「日本の成長戦略と化学のイノベーション」。ビッグデータ、人工知能(AI)といった情報通信技術(ICT)が想定を上回るスピードで進展し、社会や産業界が今まさに大きな変革期に突入している。対談では、日本が強みを生かしながら新たな価値を創造し、世界市場で勝ち残ることの重要性を強調。そのためには産業界はもちろん、教育現場から変革していかなければならないと説く。

<第1部:失われた20年とアベノミクス―1>

 【小林】 失われた15年なのか、20年なのかは別にして、この間、ミクロの経営の最前線では意気消沈していたわけでも、保守的になっていたわけでもない。常に新しい事業、製品を生み出すために挑戦し、海外で勝つためのグローバル展開も進めてきた。その中で2000年代初頭には、ソニー、パイオニア、三洋電機、シャープなどのコンシューマーエレクトロニクスの日本企業がエクセレント・カンパニーと呼ばれ、光り輝いていた。とくにシャープは、液晶表示装置(LCD)をテレビに搭載するというイノベーションを起こし、一時は世界シェアの7割、8割を握った。ではなぜ、そうした企業が敗退してしまったのか。やはり六重苦、七重苦と呼ばれる海外とのハンディキャップの問題である。

 【橋本】 研究と教育の最前線の立場でも、この20年でわれわれ日本の科学者が世界においてプレゼンスが低下したとの意識はなかった。化学でも物理の領域でも、われわれは負けている気はしないし、外国のどんな偉い学者と対面しても対等という意識だ。一方で、学生はわれわれと意識が違うようだ。若い学生ほど、外国に対して日本のサイエンスは優れているとの自信を失いつつある雰囲気があった。例えば中国人などのアグレッシブな学生が来ると、彼らにさえ押されるような状況が出てきた。残念ながらこの?年間でその傾向が強まったといわざるを得ない。

 【小林】 (産業界にとって)最も影響が大きかったのは急激な円高で、次に電力料金などのエネルギー・コストの格差である。3・11の東日本大震災以降は、電力料金が韓国や米国の3倍近くに達した。加えて法人税の格差や労働法制、通商政策といった制度の問題も足を引っ張った。それは言い訳だとの意見も一部にはあるが、われわれ経営者の実感として、明らかにこうしたハンディキャップの問題が大きかった。

 【橋本】 私は今年でちょうど60歳になったが、日々物価が上がり、生活もよくなるのが当たり前という感覚を持ちながら育った世代だ。競争に勝てばより良い世界が待っているという意識が染みついている。例えば学生時代は地下鉄やJRの定期券は頻繁に値上がりし、値上げの前日には長い列を並んで買った。しかし、今の学生にはそういう経験が一度もない。定期券も20年以上値上がりしていないのではないか。学士課程は4年生でも22歳。生まれたのはバブルが終わった後だ。ドクターでもせいぜい27歳。生まれたのはバブルの真っただ中でも、物心ついた頃にはデフレの世の中だ。成長を知らない彼らが、明るい将来をイメージできないのは当然なのかもしれない。

 【小林】 (前政権時代に)日本が背負った六重苦については、諦めに近かった。石油化学などのエネルギー多消費型産業はもともと大きなハンディキャップを背負っている。ではどう戦うのかというと、コスト優位な資源を求めてアジアや中東、あるいはシェールガスの生産が始まった米国に進出する。そういう動きを取りながら、日本国内では、一つはヘルスケアの領域に展開する。創薬の分野では、従来の低分子型の創薬はそろそろ重箱の隅をつつくような世界となりつつあるため、バイオロジックスと呼ばれる最先端の高分子系で、生体にうまく適応させた創薬分野を開拓する。また、日本の医療費抑制に貢献できる予防医学などのヘルスケア・ソリューションの領域にも展開する。もう一つは、環境にやさしいテクノロジーである。化石資源ベースではなく、植物由来のポリマーなど循環型社会の実現に貢献する技術で生きていかなければならない。つまり、ハンディを緩和するためエネルギーをあまり使わない方向と、為替のハンディキャップの影響の少ない分野での事業展開を促進する方向に切り替えてきた。


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