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震災前水準に戻らない化学の生産
4-6月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比年率で1・4%の伸びとなった。4四半期連続のプラスだが、GDPを押し上げてきた内需に陰りが出るとともに、欧州債務危機によって新興国経済に下振れの懸念が強まっている。医薬品を除く化学工業の生産は、東日本大震災前の昨年2月水準に回復できないままで低迷、化学品の国際市況の急落もあって厳しい収益状況を強いられている。
4-6月GDPの寄与率は内需が0・4%、輸出から輸入を引いた純輸出がマイナス0・1%となった。内需は個人消費が5期連続増加したほか、住宅や設備投資も着実に拡大した。一方で輸出は、世界経済の鈍化はあったものの2期連続で増加したが、原油や天然ガスの輸入増加で打ち消された。
当面の焦点は内需の持続的成長だが、7-9月期中にエコカー補助金を使い切ることで自動車販売は頭打ちになろう。1-3月期は補助金効果が大きかったが、4-6月期は高水準を維持したもののGDPの押し上げ効果が限定的だった。7-9月期は内需押し下げに働く公算があり、内需主導の景気回復の踊り場を迎える。外需は中国経済の成長率鈍化がのしかかる。
化学工業は中国など新興国需要の拡大の恩恵を受けて収益改善を図ってきた。ただ生産に関しては震災前水準に戻っていない。6月の医薬品を含めた化学工業の生産指数は、震災前とほぼ同水準の106・1だが、医薬品を除くと昨年2月の96・7から85・6に落ち込む。トイレタリー製品、化粧品など内需型製品のほか、自動車増産の追い風を受ける合成ゴムの生産は好調だが、石油化学製品の落ち込みが目立つ。
石化製品(特掲)に絞ると、昨年2月の生産指数97・0に対し、6月は83・1。16カ月連続で震災前水準に回復しないばかりか、80台の生産指数で低迷している。とりわけプラスチックの不振は際立っている。
それでも、昨年度上半期まではアクリロニトリルなどモノマー系基礎化学品が新興国の旺盛な需要に支えられて輸出を伸ばすとともに、国際市況高騰の恩恵を受けた。ところが年後半以降の市況は弱含みに転じ、とくに4-6月期は利益確保に汲々とする状態に陥った。すでに減産に踏み切っており、化学工業全体の生産に与える影響は無視できない。
4期連続プラスを維持してきたGDP同様に、7-9月期の化学工業の生産も足踏みが続くことを覚悟せざるを得ない。とりわけ欧州債務危機を背景にした新興国経済の下振れリスクに留意して的確な対応が迫られそうだ。