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【連載】心臓再生に挑む(上)日本発の技術を追う テルモ
組織修復促す細胞シート
急性や慢性の心筋障害で心臓のポンプ機能が弱まり、全身に必要な血液を送り出せなくなる心不全。国内では毎年万人ほどの新規患者が生まれている。薬の効かなくなった重症心不全患者にとって有効な治療法は心臓移植しかないが、ドナーが限られている日本では、すべての患者に移植治療で救命することは困難な状況にある。この問題を解決するため、早期に開発が望まれているのが細胞移植や遺伝子を使った心筋再生治療などの新しい治療法だ。日本発の心臓再生治療の開発動向を追った。
国内メーカーで心筋再生治療で先行しているのは医療機器大手のテルモだ。今年2月には世界で初めて細胞シートを使った心筋再生治療の治験を開始すると発表した。テルモは2002年、当時、患者の太ももの筋肉に含まれる骨格筋芽細胞を使った心筋再生治療の臨床研究で先頭を走っていた米ベンチャーのダイアクリンと提携し、国内に技術導入しようとしていた。
ダイアクリンの技術は、患者から採取した骨格筋芽細胞を体外で培養し、胸を開けて細胞を心筋に直接注射する方法。テルモは国内導入のために大阪大学大学院心臓血管外科の澤芳樹教授に技術の評価をしてもらっていた。
同時期に米ジェンザイムと米メドトロニックが欧州において実施していた大規模臨床試験MAGICが、骨格筋芽細胞を移植する治療の有効性を証明できす開発がとん挫。直接注射する方法では移植する細胞の多くが傷むため効果を十分に発揮できなかったことが要因とされているが、注射によって筋肉が盛り上がることから不整脈という副作用を起こすリスクがあったことが影響したといわれている。
※生着率高まり増殖因子出やすく※
MAGICの失敗を受けて、テルモと澤教授らは開発計画の見直しを迫られる。そのなかで澤教授が考案したのが、骨格筋芽細胞をシート状に培養して心筋に貼り付ける方法だった。東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫教授が開発した細胞シート技術を活用した。
年に澤教授らは細胞シートを使った心筋再生の臨床研究を初めて実施し、心臓移植を待っていた拡張型心筋症患者が人工心臓を取り外せるまで心機能が回復した。同治療のメカニズムはまだ明らかになっていない。ただ、シート状にすることで細胞の心筋への生着率が高くなるため、血管もつながり細胞から増殖因子が出やすくなることが影響しているのではないかと推測されている。増殖因子が心臓や血液中の幹細胞を呼び込むことで心筋組織が修復を促すという。
細胞シートを使用した心筋再生治療は年に国のスーパー特区プロジェクトに選定された。テルモも同プロジェクトの共同開発メンバーとして参画することになった。
※症状悪化止め移植手術の補完も※
今回の治験の適応は、冠動脈が動脈硬化で高度に狭くなり心筋が酸欠状態になって障害を受け、収縮が悪くなる虚血性心筋症の患者。重症心不全患者の大部分を占めるといわれており、同治療で心不全の症状の悪化を食い止めることができれば心臓移植を補える可能性が生まれる。薬物の投与を減らせるため、医療費の削減にもつながると期待されている。治験のうち探索的治験は阪大や女子医大など3施設で6症例を実施する。その後の評価期間を経て、最終治験に入るかどうかを決定する。
テルモはカテーテルを使用した血管内治療や、重症心不全患者の心臓移植までのつなぎに使用する補助人工心臓など心臓血管事業を成長エンジンとして強化している。心筋再生治療もそのポートフォリオの1つにしていく考えで、5年後の実用化を目指している。
【写真説明】テルモ 骨格筋芽細胞シート