「先端材料・技術の活用により鉄鋼材料でオールアルミ製と同等の軽量ホワイトボディーが実現可能」という研究成果が発表された。世界鉄鋼協会が次世代鋼製環境対応車(FSV)プログラムとして車体の詳細設計を完了したもの。電気自動車(EV)用の開発車体はベースの欧州製ガソリン車に対して35%減の187・7キログラムを達成した。生産コストも工場建設の償却費を含め、年産22万5000台で1000ドル以下という試算結果を得た。車体製造時を含むCO2排出量は約7割の削減が可能であり、本格EV時代に向け参加各社では研究成果の普及拡大を推進する。
世界の鉄鋼メーカーが共同でおこなう自動車軽量化研究は、1994年に国際コンソーシアム「ULSAB(スチール製超軽量自動車ボディー開発研究計画)」を組織してプロジェクトを発足させたのが始まり。約80億円を投じてULSAC(クロージャー部品)、ULSUS(サスペンション)、ULSAB?AVC(超軽量車体)の各プログラムを実施している。
FSVは08年に新日鉄、JFE、住友金属、神戸製鋼など17社が参加してスタートしたもので、今回の研究成果はFSVのフェーズ2として09年から取り組んできた。開発車は20年頃の商用化を狙っている。材料については参加メーカー1社でも製造可能であれば候補としてリストアップしたほか、工法も既存工法、15年および20年頃に実用化可能なものの3区分で採用を検討した。
設計結果をみると、材料では340メガパスカル以上のハイテン比率が97%(重量比)。うち980メガパスカル以上のウルトラハイテンが約50%を占めており、1ギガパスカル以上も30キログラム超使用されている。工法はホットプレス(採用比率12%)やロールフォーミング(同10%)といった成形法を多用。接合法ではスポット溶接が従来の25%?30%に減少する一方、レーザー溶接(接合長87メートル)や接着(同18メートル)など、点から線・面へのシフトで強度・剛性の向上を図っており、欧州で開発が進む炭素繊維などを採用した軽量車体に匹敵する軽量化を可能とした。
今回の研究成果で軽量化とともに注目されるのがCO2排出量。EV化により車体製造時のCO2排出量の占める割合が高まるが、鋼材はアルミやCFRPといった他の軽量素材に比べて10%?20%と低く、製造工程も含めたトータルライフサイクルアセスメント(LCA)の点でも鋼材の優位性を確認している。
FSVに参加した各鉄鋼メーカーでは、今回の知見をもとにハイテン材をはじめとした鉄鋼材料の採用拡大に取り組んでいく。

コメントする