物質・材料研究機構や旭硝子、東洋ガラスなどが共同で取り組む、ガラス製造の「気中溶解」技術の開発プロジェクトが着実に進展している。このほど、溶融が難しい無アルカリの液晶用ガラスなどに向けて、多相プラズマと酸素燃焼炎とのハイブリッド化による相乗効果および熱源の安定性と耐久性を確認すると同時に、ホウ酸成分の揮発を実用レベル内に抑制することに成功した。ソーダ石灰ガラスなどの汎用ガラスについては、バーナーによる酸素燃焼炎のみによる気中溶解により、世界最小の消費エネルギー(1キログラム当たり1200キロカロリー)での溶解に見通しをつけた。2015年ごろに小型炉を実用化し、さらに30年ごろまでに大型炉の実用化を目指す。
国内のガラス産業は、産業全体が消費するエネルギーの約1%を占めるエネルギー多消費型産業の1つ。その大半を溶融プロセスで消費している。気中溶解技術では、このエネルギーを従来方式の3分の1程度に低減するとともに、炉の小型化(数分の1)、排ガス削減、空気蓄熱室の除去、ガラス品質の向上、不良ガラスや廃棄レンガの削減、ジョブチェンジ時間の短縮など多くのメリットが享受できるとしている。しかも、平面ディスプレイ用基板ガラスや光学ガラスなどの小型炉からガラスびん、建築用・自動車用板ガラスなどの大規模炉まで、ほとんどの炉に適用できるという。
融液上で原料を溶かし長時間をかけて均質化する現行方式に対し、新製法は、直径100?200マイクロメートルの顆粒状に造粒した混合原料を高温熱源に投じて瞬時に溶かす方式を取る。熱源に原料を直接投入することから熱の利用効率に優れ、造粒原料の成分ムラが少ないため、効率よく反応が進むことによって短時間で溶融が完結する。高温熱源は多相プラズマと酸素燃焼炎とのハイブリッド(溶融が難しい無アルカリの液晶用ガラスなど)または酸素燃焼炎単独(汎用ガラスなど)を用いる。実用化の見通しが立てば、旭硝子と東洋ガラスが自社内で実用化のための開発と事業化検討を進めることになる。
この技術は、05?07年に実施された先導研究プロジェクトを受けてスタートした、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「革新的ガラス溶融プロセス技術開発プロジェクト」(08?12年度)の中間成果の一部。物材機構、東京工業大学、旭硝子、東洋ガラス、ニューガラスフォーラムの5者が参画している。

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