小野産業は、金属フリーながら金属調の意匠を実現する多層フィルムを使用し、金型内でプラスチック部品と一体成形(インモールド・フィルム・インサート成形)する加飾技術の実用化にめどをつけた。コア技術である高速ヒートサイクル成形(RHCM)技術と組み合わせることで、シボなどの転写率を高めてメリハリのある高い意匠性を実現。さらに、部品を包み込むような絞り成形をしても色ムラなどの問題を起こさない加工法を開発したもの。RHCMを付加価値化した「R&I」技術として、携帯電話、パソコン、薄型TVなどの筐体や、自動車内外装部品などをターゲットに用途開発を進めていく。
開発した技術は、加飾フィルムとして東レのポリエステル系ナノ多層フィルム「ピカサス」を採用した。ピカサスは、塗装レス、メッキレスの環境にやさしい加飾フィルムであるほか、金属をまったく使用せずに金属調の意匠を実現できるため電波障害への対策が不要となる。さらに、裏面で光源を点灯させると文字が浮き上がる加飾が可能になるなど、多くの機能・付加価値を持っている。
ただ、フィルムそのものが肉厚で硬いことや、数百?数千枚という多層構造であるため、シボを付与する凹凸加工や3次元曲面加工が難しく、深い絞り加工を行うと色ムラが起こるなどの問題があった。
このため小野産業は、成形時に金型の温度を高速で加熱・冷却する独自のRHCMを採用することで、凹凸加工の問題を解決した。金型表面を130?140度Cまで高めるRHCMにより、金型の凹凸をピカサスに忠実に転写でき、従来技術では難しかったシボなどの転写率を大幅に高めた。
さらに、独自の加工ノウハウによりフォーミング(成形前の型加工)時や成形時に色ムラを抑える独自のフィルム引き伸ばし方法を見いだすことで、ピカサスで部品を包みこむような絞り成形への対応にめどをつけた。
小野産業は、RHCM技術にプラスαの価値を付加した"ハイブリッド技術"の開発と普及に力を入れており、すでに樹脂発泡技術と組み合わせたR&F技術や、バイオプラスチック(ポリ乳酸)と組み合わせたR&B技術を展開している。
今回のインモールド・フィルム・インサート成形との組み合わせは新たなハイブリッド技術(R&I技術)として、ピカサス以外の加飾フィルムでの展開も図りながら用途開発を加速していく方針だ。

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