東レは、機械物性を維持しながら流動性を大幅に向上させたポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂の新グレードを開発した。新たなポリマー分子設計を踏まえた変性技術により、ポリマー分子中に分子鎖同士を絡みにくくする構造を組み込むことで実現したもの。射出成形モデル実験では、従来のPBT樹脂と同等の機械特性を維持しつつ最大80%の高流動性を確認しており、同等の流動性なら溶融成形加工温度を20度C程度低減することが可能だ。同社では、「トレコン ナノフロー」シリーズとして自動車部品や電気・電子部品向けに展開していく。
PBT樹脂は、機械特性や耐熱性に優れるエンジニアリングプラスチックス。結晶化速度が速く生産性に優れることから、主に自動車部品や電気・電子部品の射出成形材料として幅広く使用されている。近年、環境負荷低減を目的とする製品の小型化・軽量化の進展を背景に、射出成形品に対する薄肉化や生産性向上といったニーズが高まっており、PBT樹脂に対する高流動化が求められている。
トレコン ナノフローシリーズは、独自のポリマー分子設計技術とナノオーダーのポリマー構造制御技術、溶融混練技術を融合することで開発したもの。ポリマーの低粘度化や可塑剤の併用、共重合化、特殊フィラーの添加といった従来の高流動化技術が強度や結晶化速度の低下といった物性面とトレードオフの関係にあるのに対して、流動性だけを大幅に向上させているのが特徴。
射出成形モデル実験では、流動性向上と溶融成形加工温度低減により、低ソリ性といった成形時のひずみ緩和や成形サイクルの向上など従来樹脂に対する優位性を確認している。また、高充填化による高強度・高弾性率材料の創出や生産プロセスの省エネルギー化が見込めるとしている。
本格販売に当たり、同社では難燃および非難燃のガラス繊維強化グレード(GF15%および同30%)を用意。今後、自動車部品や電気・電子部品分野を主にサンプル出荷を通じた用途開拓に取り組んでいく。また、将来的にはハロゲンフリーの難燃グレードや非強化グレードなども品揃えしていく方針。

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